涙点プラグを用いた治療:液体コラーゲンプラグを用いた治療
清澤のコメント:たかがドライアイ、されどドライアイ。ドライアイでは目の表面の涙液層の維持が困難であり、まぶしさや、痛みなど“目の渇き“と総称される多くの自覚症状と、眼表面の傷に代表される他角的な障害がみられます。そこで、人口涙液や、涙液分泌を促す各種の点眼薬などが用いられますが、それで効果が不十分な場合に「少ない涙で目を潤す」目的で用いられるのが液体コラーゲンプラグを用いた治療です。(キープティアHP参照:https://www.kokenmpc.co.jp/products/medical_plastics/opt/keeptear/)当医院は開院直後ですが、既にキープティアを入荷できました。
涙点プラグ治療の考え方
涙腺から分泌される涙の量が少ないのに涙点からどんどん涙が排出されると、涙の量が不足し、目の表面が乾いてきます。 そこで、涙の出口(涙点)に栓(プラグ)をすることで十分な涙が目に溜まるようにするのが涙点プラグ治療の基本的な考え方です。
液体コラーゲンプラグとは
液体コラーゲンプラグを用いたドライアイの治療では、涙点からの涙の排出量を調節するのに液体のコラーゲンを用います。 このコラーゲンは、アテロコラーゲンと呼ばれ、冷たい常温の状態では液状で、体温程度に温めるとゼリー状に固まる性質があります。このコラーゲンを細い管で涙小管へ注入することで、涙液の鼻腔への排出量をコントロールします。 ドライアイの症状を改善するのがこの治療法です。
治療に使われるコラーゲンは
液体コラーゲンプラグには、医療に幅広く使われているアテロコラーゲンという特殊なコラーゲンが用いられています。アテロコラーゲンは、酵素処理によって得られる、抗原性の低い、且つ安全性の高いコラーゲンです。当院では、キープティアを採用しています。
キープティアはドライアイの治療における涙点閉鎖処置に用いられる涙点プラグです。生体適合性の高いアテロコラーゲンを使用しており、体温によりゲル化する特性を利用して、充填時には液体のため簡単に充填でき、涙小管内ではやわらかいゲルとなり刺激が少なく、かつ、しっかりと涙点を閉鎖します。
メリット
- 治療後の目の異物感がなく、副作用が少ない。
- 涙を目表面に溜めることにより、目の表面に出来る傷を改善します。
- 注入したコラーゲンは少しずつ分解または排出され、治療前の状態に自然に戻ります。
- コンタクトレンズによるドライアイにも使用することができます。
注意点
- コラーゲンにアレルギーがある場合、まれに痒みが出たり、目が赤くなる場合があります。 その場合は、早めに医師に相談してください。
- 治療後に、まれに涙があふれ出る場合がありますが、しばらくすると治まります。
- 効果の持続期間には個人差があります。
- 目を強くこすったり、目の周囲を強く押さないようにしてください。
治療の流れ
治療は次の流れで行われます
治療の流れ
STEP1
ベッドに仰向けになり、必要に応じて点眼麻酔を行います。
STEP2
涙点にコラーゲンを注入します。
STEP3
注入後、目元を温めます。
目を閉じてコラーゲンが固まるのを待ちます。(約10分)
目のまわりを触ったり、瞬きをしないようご注意ください。
私はホットアイマスク使用を施術直後に推奨しています。
治療後のケアと再治療について
治療後は、通常通りの洗顔や入浴が可能です。注入されたコラーゲンは時間が経つと少しずつ分解または排出されていきます。
その他のシリコン性 涙点プラグ
スーパーイーグル
ドライアイ(涙液分泌減少症)及びシェーグレン症候群の治療に有効であり、 また安全性に優れています。 スーパーイーグル(SUPER EAGLE)はフィット性、保持性、患者様の快適性に優れたシリコン涙点プラグです。(前の医院では用意していましたが、新設の当医院ではまだ採用を決めていません。)
ドライアイの主な治療法
軽度から中等度まで幅広い患者さんに適応できます
液体コラーゲンプラグは患者さんの身体的な負担の少ない治療です
ドライアイは、これまで症状が軽度の場合は生活改善指導や点眼剤(ヒアレイン、ジクアス、ムコスタ等)を用いた治療が、重度の場合は固体涙点プラグ治療や手術治療が行われてきました。 ここに新たに加わったのが液体コラーゲンプラグ治療で、治療後の異物感がなく、主に軽度から中等度の症状に用いられる優れた治療法です。
主な治療法とその特徴(まとめ)
点眼剤治療
目の潤いを保つ成分を含んだ点眼剤、または涙の質を改善する点眼剤を用いる治療法です。
液体コラーゲンプラグ治療
涙点および涙小管に特殊なコラーゲンを注入することで、目の潤いを取り戻す治療法です。
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