ドライアイ

[No.1426] マイボーム腺機能不全ガイドラインが日眼会誌に掲載されました

清澤のコメント:マイボーム腺機能不全ガイドラインが日眼会誌に掲載されました。治療に関する推奨および行わないことの推奨が、「マイボーム腺機能不全患者にxxは有効か?」という質問と答えの連続になって示されています。出典:https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/MGD.pdf

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CQ­18:マイボーム腺機能不全患者に温罨法は有効か?
温罨法はマイボーム腺機能不全の自覚症状,meibum の質(meibum grade)を改善する.マイボーム腺機能不全への治療として行うことを強く推奨する.
CQ­19:マイボーム腺機能不全患者に眼瞼清拭は有効か?
マイボーム腺機能不全患者に対して,水で湿らせた綿球を用いて行う眼瞼清拭は自覚症状,涙液層破壊時間を改善する可能性がある.市販のクレンジング剤を用いた眼瞼清拭は自覚症状,マイボーム腺開口部・周囲所見,meibum grade,涙液層破壊時間,角結膜上皮障害を改善する可能性がある.使用するクレンジング剤の種類によっては,重篤ではないものの有害事象が生じる可能性がある.以上より,マイボーム腺機能不全に対して眼瞼清拭を実施することを弱く推奨する.
CQ­20:マイボーム腺機能不全患者に meibum の圧出は有効か?
Meibum 圧出治療は自覚症状の改善に有効であり,閉塞性マイボーム腺機能不全の治療選択肢として推奨する.
「実施する」ことを弱く推奨する
CQ­21:マイボーム腺機能不全患者にジクアホソルナトリウム点眼は有効か?
マイボーム腺機能不全とドライアイの合併例に対するジクアホソルナトリウム点眼は自覚症状,マイボーム腺開口部・周囲所見,meibum grade,涙液層破壊時間,角結膜上皮障害を改善する可能性があるが,ドライアイを合併していないマイボーム腺機能不全に対しての有効性は不明である.本邦において,マイボーム腺機能不全単独に対してのジクアホソルナトリウム点眼は保険適用外であることを考慮して,治療の選択肢としては実施しないことを弱く推奨する.
「実施しない」ことを弱く推奨する
CQ­22:マイボーム腺機能不全患者に抗菌薬点眼は有効か?
マイボーム腺機能不全患者へのアジスロマイシン水和物点眼は,自覚症状,マイボーム腺開口部・周囲所見,meibum grade の改善に有効である.有害事象の頻度はやや多いものの程度は比較的軽いため,「実施する」ことを弱く推奨する
CQ­23:マイボーム腺機能不全患者に眼軟膏(副腎皮質ステロイド系眼軟膏を除く)・油性点眼は有効か?
眼軟膏や油性点眼のいずれも,それぞれの種類の眼軟膏・油性点眼に関する報告がわずかずつしかない:明確な推奨ができない。

CQ‒24:マイボーム腺機能不全患者に副腎皮質ステロイド局所投与(点眼・眼軟膏)は有効か?
副腎皮質ステロイド点眼は眼瞼清拭や温罨法との併用で,自覚症状,涙液層破壊時間,眼瞼縁所見,meibum の質などを改善する.しかし,エビデンスレベルの高い報告が少なく,また本邦において,副腎皮質ステロイドのマイボーム腺機能不全への保険適用はなく,症例が眼瞼炎を伴う場合のみ保険適用となる。「実施する」ことを弱く推奨する
CQ‒25:マイボーム腺機能不全患者にシクロスポリン A 点眼は有効か?
マイボーム腺機能不全に対するシクロスポリン A 点眼は,自覚症状,眼瞼縁所見あるいは meibum の質などをある程度改善するが,その効果は限定的である.マイボーム腺機能不全に対するシクロスポリン A 点眼はエビデンスのある治療とはいえないと考え,実施しないことを弱く推奨する.「実施しない」ことを弱く推奨する
CQ‒26:マイボーム腺機能不全患者にω‒3脂肪酸の内服は有効か?
マイボーム腺機能不全に対するω‒3脂肪酸の内服は,自覚症状,マイボーム腺開口部周囲の血管拡張,涙液層破壊時間を改善する可能性がある.本邦において,ω‒3 脂肪酸製剤は保険適用外でサプリメントとして位置づけられていることを考慮し,実施することを弱く推奨する.
CQ‒27:マイボーム腺機能不全患者に抗菌薬内服は有効か?
アジスロマイシン水和物およびテトラサイクリン系抗菌薬(ドキシサイクリン塩酸塩水和物,ミノサイクリン塩酸塩)の内服は,マイボーム腺機能不全患者の自覚症状,マイボーム腺開口部・周囲所見の改善に有効である.本邦において,いずれの薬剤もマイボーム腺機能不全への保険適用はないことから,実施することを弱く推奨する.
CQ‒28:マイボーム腺機能不全患者にintense pulsed lightは有効か?
マイボーム腺機能不全患者へのintense pulsed light治療は,自覚症状,マイボーム腺開口部・周囲所見,meibum grade,涙液層破壊時間,角膜上皮障害などの改善に有効であるうえ有害事象の頻度が低く,軽度で可逆的であるため,エビデンス的には実施することを強く推奨する.しかし,原稿作成時点で,日本国内においてintense pulsed lightはマイボーム腺機能不全に対して承認されておらず,保険適用もない.この観点から,現段階では弱い推奨にとどめる.
CQ‒29:マイボーム腺機能不全患者に thermal pulsation therapy は有効か?
Thermal pulsation therapy はマイボーム腺機能不全患者の自覚症状および他覚所見(マイボーム腺開口部・周囲所見,meibum の質,涙液層破壊時間)を改善するが,保険適用がないことを考え,実施することを弱く推奨する.
CQ‒30:マイボーム腺機能不全患者に probing は有効か?
閉塞性マイボーム腺機能不全に対しての probing は,自覚症状を改善するものの,マイボーム腺開口部所見,meibum grade,涙液層破壊時間,角結膜上皮障害などの改善には乏しく,また侵襲的な治療であることを考え,実施しないことを弱く推奨する.

 

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