角膜疾患

[No.3176] 角膜表層混濁に対応するPRKの説明

角膜表層混濁に対応するPRKの説明

**PRK(Photorefractive Keratectomy)**は、角膜表層の混濁や近視、遠視、乱視などを矯正するためのレーザー手術です。特に角膜上皮層の障害や混濁に対応する治療として有効で、角膜の透明性と視力の改善が期待されます。ただし、私の診療所でできるような類の処置ではありませんから、適用のありそうな症例を見た場合には先ず角膜処置の得意な大学に紹介して、教授などの判断でその実施を大学外施設で行うように具体的な指示を求めるような相談をすることになります。


PRKの原理

PRKは、エキシマレーザーを用いて角膜の前面を削り、形状を変化させる手術です。レーザーは紫外線を利用して、角膜の組織を高精度で蒸発させ、周囲に熱の影響を与えません。この手術では、角膜上皮を取り除いた後に、角膜実質層に直接レーザーを照射することで、屈折力を調整します。


手術の流れ

  1. 準備と麻酔
    点眼麻酔を使用して、痛みを感じない状態にします。

  2. 角膜上皮の除去
    手術中、外科的器具または特殊なアルコール溶液を使用して、角膜の最も外側の層(上皮)を取り除きます。

  3. レーザー照射
    エキシマレーザーを用いて、角膜実質を削ります。照射時間は数十秒程度で、個々の患者の屈折異常や混濁の程度に応じて調整されます。

  4. 保護用コンタクトレンズの装着
    角膜の治癒を助けるために、一時的なソフトコンタクトレンズを装着します。このレンズは上皮の再生後、数日以内に取り外されます。


適応とメリット

PRKは以下のようなケースに適しています:

  • 角膜表層に混濁がある場合 (帯状角膜変性やアベリノ角膜変性など)
  • 角膜が薄く、LASIKが困難な場合
  • スポーツや職業上、フラップ(LASIKで作成する角膜の蓋)がない方が望ましい場合

メリットとしては、角膜の構造が保存されやすい点が挙げられます。また、LASIKと比較して角膜の厚さに制限が少ないため、広範囲の患者が治療対象となります。


デメリットと注意点

  • 術後の痛み
    上皮の再生過程で痛みや不快感が伴うことがあります。
  • 視力の安定まで時間がかかる
    完全な視力の回復には1~3か月ほどかかることがあります。
  • 混濁の再発リスク
    術後の管理が不適切な場合、再び混濁が生じることもあります。

術後管理

術後は、抗炎症薬や抗生物質の点眼を数週間行います。また、紫外線を避けるためにサングラスの使用が推奨されます。定期検査で角膜の状態を確認し、合併症を早期に発見することが重要です。


PRKは角膜表層の混濁の治療だけでなく、視力矯正としても利用される安全性の高い手術法です。手術の適応や術後のケアについて医師と十分に相談することが、成功の鍵となります。

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