白内障

[No.1726] この眼鏡、あってますか?:と聞かれたら?

日本の眼科5月号が届きました。プチビジョンケア通信(25)この眼鏡、あってますか?九州大学病院・視能訓練士の瀬戸寛子先生の記事も掲載されています。しばしば問題になりそうな話題ですから抄出して採録させていただきましょう。(日本の眼科2023年5号613ページ)患者側からも、現在使っている眼鏡が合わないという疑問をご検討ください。

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 「この眼鏡,あっていますか?」という質問。「最近,なんとなく見にくくて……」と相談された場合,どのようなアプローチをしたら良いか。
 眼鏡での見えにくさの訴えがあった場合は,まずはお話をよく聴き,所持眼鏡度数を測定します。所持眼鏡および自覚的屈折値での最高視力を検査した後,「眼鏡を装用しても見えにくくなった」など患者さんの訴えをカルテに記載し,主治医と情報共有しておく。「見えにくさ」の原因が眼疾患の影響によるものなのか,眼鏡度数の調整によって解決するものなのかの鑑別を,医師がおこない,問診や検査中に,斜視や両眼視機能の異常および調節障害などが疑われる場合には主治医に相談し追加検査もおこなう
 眼鏡の見えにくさを訴えている場合,日常生活でどのような不便があるのか,どの距離で困っているのか,眼鏡の用途など何が問題であるのか,原因を明確にしていく。眼鏡での見えにくさを訴えているにも関わらず,視力屈折検査の結果を見ると最高視力が良好である患者は結構いる
 仕事で 1 日中,パソコン作業をしているのに,遠近両用(累進屈折力レンズ)眼鏡を装用している,また,老視の年齢であるのに遠用眼鏡で長時間の近見作業をおこなっている。眼鏡の用途と度数が合っていないことが多々ある。
 また,左右眼で近見の焦点距離が異なる,他にも遠近両用(累進屈折力レンズ)眼鏡を使っている方が,近方視時に顎を引いたまま遠用部で近見を見ているなど,用途に応じた眼鏡やレンズの特性を活かした使用ができていない場合もあります。
 それ以外に眼鏡フレームに関しても,特に遠近両用(累進屈折力レンズ)眼鏡では,レンズの累進帯長と遠用・近用の安定位置やアイポイントを考慮し,これらがレンズ内に収まる玉型高さのフレームを選ぶことが重要です。しかし,この高さが確保されていないフレームで眼鏡を作製するなどして,不便に感じている方も少なくない。適切な眼鏡度数であっても眼鏡レンズが正しい位置,状態になければ正しい屈折効果は得られない。
 眼鏡の見えにくさで困っていることをしっかり聴いて,見えにくさの原因を検証し,年齢や生活スタイルに合った眼鏡,そして正しく眼鏡を使用する方法を丁寧に説明する。
 所持眼鏡のチェックはアイフレイルのはじめの一歩です。患者さんの眼鏡の見えにくさの原因を調べ,適切な眼鏡を提供することで患者さんの快適な視環境を維持し向上できるよう,視能訓練士も取り組んでいきたい。

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