当医院からも聖マリアンナ医大リハビリ科にコロナ後遺症治療の目的で紹介した患者さんが居ます。新型コロナウイルス感染罹患後症状の現状と診療の課題(第2回) 具体的な症状への対応について。掲載誌 月刊保団連 (1402):2023.9 p.40-45に土田 知也(東京 : 全国保険医団体連合会)から「新型コロナウイルス感染:罹患後症状の現状と診療の課題」を抜粋採録します。
1,倦怠感;倦怠感は多岐にわたるがそれがコロナ後遺症のこともある。
①体動後の強い倦怠感:(post exertional malaise:)PEMと呼ばれる。
②体位性頻脈症候群:立って動くと症状が出るのが体位性頻脈症候群(postural tachcardia syndrome)の特徴。
③症状の改善:通常は数か月で軽減する。
2. 評価のポイント:以下のことに着目
①除外診断:貧血や、甲状腺機能障害も除外を要す。
②生活状況の確認(休息の確保):職場に行かれれば、極力負担を軽減させる。そのために、診断書も発行する。
③起立試験でのPOTSの評価:安静臥床2分、起立して直後、1分後、5分後に血圧と脈拍を測定する。脈拍増多30以上、起立時の血圧低下なしでPOTSを診断する:800人中100人がPOTSだった。自己抗体か?
④抑うつの評価:安静位でも倦怠感あるなら経済不安など精神性を考える。内因性打つとは異なる。
⑤体重増加・筋力低下の評価:この症状が出やすい。
3.「Brain fogブレインフォッグ」への対応:記憶力低下、文字や聞いたことの理解不良。いい間違い。見えにくい。これら自覚症状をrain fogと呼ぶ。SPECTで脳血流低下が有効。これには反復径頭蓋時期刺激(rTMS)をリハビリ化で行う。この(聖マリアンナ医大)病院では自費で行っていると。後頭葉の血流低下が眼症状の原因だろうという。
4.上咽頭擦過法(EAT)の有効性:上咽頭を演歌アレンで浸した綿棒で擦過する。上咽頭擦過法(EAT)が有効なケースが多い。耳鼻科で行う。
5,頭痛:片頭痛や緊張性頭痛様である。気候変動の影響を受ける。光や音過敏なら片頭痛の治療を行う。ベータブロッカーとトリプタン製剤、予防薬。抗CGRP抗体製剤も使える。緊張性頭痛の合併もある。
6,しびれや痛み:神経支配領域に合致しないことが多い。小径性神経線維の異常が多い。プレガバリン、ミロガバリン、ヂュロキセチンなどを使う。
7,嗅覚異常・味覚異常:感染初期では全く嗅覚や味覚がなくなることが多い。異臭症もある。嗅覚トレーニングを勧める。亜鉛欠乏の治療も。
8,脱毛:毛髪は半年で生えてくると説明すればよい。休止期脱毛である。ミノキシジル使用や亜鉛製剤処方をする。(半年で改善する)
9,合併症の見極めを:特有なのはブレインフォッグと嗅覚・味覚障害程度である。(続く)
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