Streptococcus pneumoniae(肺炎球菌)による結膜炎について、特徴と治療法を述べます。
特徴
- 原因菌
- Streptococcus pneumoniaeはグラム陽性双球菌であり、特に免疫力の低下した患者や高齢者、小児で感染症を引き起こすことがあります。
- 結膜炎の原因菌としては比較的稀ですが、地域によっては重要な病原体となる場合があります。肺炎レンサ球菌 – Wikipedia
肺炎レンサ球菌(はいえんレンサきゅうきん、Streptococcus pneumoniae)とは、肺炎などの呼吸器の感染症や全身性感染症を引き起こすレンサ球菌。日本の臨床医療現場では肺炎球菌と呼ばれることが多い。また、肺炎双球菌 (Diplococcus pneumoniae) とも呼ぶことがある。
- 症状
- 充血: 両眼または片眼の結膜充血。
- 分泌物: 粘液性または粘液膿性の分泌物が特徴。
- 眼瞼の腫れ: 軽度から中等度の浮腫。
- 異物感: 結膜の炎症による不快感。
- 一部では、寒冷気候や乾燥した環境での集団発生が報告されています。
- 疫学
- 特に集団生活(学校、施設)での流行が知られており、接触感染が主な伝播経路です。
- 鑑別診断
- 他の細菌性結膜炎(モラクセラ、インフルエンザ菌などが鑑別)。
- ウイルス性結膜炎(アデノウイルス)やアレルギー性結膜炎。
診断
- 臨床診断
- 症状と流行状況を基に疑われます。
- 培養検査
- 分泌物を採取し、グラム染色や培養で肺炎球菌を確認。
- 感受性検査
- 抗菌薬の選択のために行われる場合があります。
治療法
- 局所治療
- 抗菌点眼薬:
- フルオロキノロン系(例: レボフロキサシン点眼液、ガチフロキサシン点眼液)
- アミノグリコシド系(例: トブラマイシン点眼液)
- 1日3~4回の点眼を基本とします。
- 軽度の場合はこれで十分な効果が期待されます。
- 抗菌点眼薬:
- 全身治療
- 稀に重症例(角膜潰瘍を伴う場合、または周囲の感染が疑われる場合)では、ペニシリン系またはセフェム系抗菌薬を全身投与します。
- ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)が問題となる場合、バンコマイシンなどが選択されることがあります。
- 支持療法
- 分泌物の洗浄: 生理食塩水での洗浄により快適性を向上。
- 保湿: ドライアイを伴う場合は人工涙液を併用。
- 患者教育: 手洗いやタオルの共用を避けることで感染拡大を防止。
予後
- 適切な治療で、通常は数日から1週間以内に症状が改善します。
- 治療が遅れると、まれに角膜潰瘍や慢性化する可能性があるため、早期診断と治療が重要です。
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