今朝、高円寺の遊歩道を歩いていると、思わず足を止めてしまうほど見事な紅葉に出会いました。赤や黄色、橙色が混じり合う葉が朝の光を受けて輝き、自然とシャッターを切っていました。この植物は**ナツヅタ(夏蔦、別名アメリカヅタ)**と呼ばれる、ブドウ科ツタ属の落葉性つる植物です。
ナツヅタの特徴は、手のひら状に裂けた葉と、秋になると劇的に色づく紅葉の美しさです。つるの先端には吸盤状の付着器があり、壁や塀、樹木にしっかりと張り付くため、洋館や大学の建物の壁面緑化によく利用されています。夏は直射日光を和らげ、冬は落葉して光を通すため、景観だけでなく環境面でも優れた植物です。
さて、このナツヅタそのものが目の病気を治すわけではありませんが、眼科的な視点で見ると興味深い存在です。紅葉に含まれる赤色(アントシアニン)や黄色(カロテノイド)は、私たちが色を感じ取る仕組みを考えるうえで格好の教材です。加齢や黄斑疾患があると、「赤は比較的はっきり見えるが、黄色がくすんで見える」「色の境目がぼやける」といった変化が起こることがあります。こうした視覚の変化を患者さんに説明する際、ナツヅタの紅葉の見え方を例に挙げると、理解していただきやすいことがあります。
美しい景色に心を動かされること自体が、目と脳への良い刺激になります。季節の移ろいを楽しみながら、「最近、紅葉の色合いはどう見えますか?」と、ご自身の目の健康にも少し意識を向けてみてはいかがでしょうか。



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