2型糖尿病とは何か?――仕組みから治療までをわかりやすく
米国医学会のページでは1型糖尿病が論じられていますが、此処ではより身近な2型糖尿病を説明します。(近日中にその眼症状を説明した日刊ゲンダイの記事掲載が予定されています。)
2型糖尿病は、日本でもっとも多いタイプの糖尿病です。血液中のブドウ糖(血糖)が慢性的に高い状態が続く病気で、放置すると全身の血管や神経に障害を起こします。日本では成人の約1,000万人以上が「糖尿病が強く疑われる」とされており、決して珍しい病気ではありません。
■ なぜ血糖が上がるのか
血糖値は、膵臓から分泌される「インスリン」というホルモンによって調節されています。インスリンは血液中の糖を細胞に取り込ませ、エネルギーとして使わせる働きをします。
2型糖尿病では、①インスリンの効き目が弱くなる(インスリン抵抗性)ことと、②インスリンの分泌量が不足することが重なり、血糖が高いままになります。
背景には、遺伝的体質に加え、過食、運動不足、肥満、加齢、ストレスなどの生活習慣が関与します。日本人は欧米人に比べてインスリン分泌能力がもともと弱いとされ、軽度の肥満でも発症しやすいと報告されています。
■ どんな症状があるのか
初期にはほとんど症状がありません。血糖がかなり高くなると、のどの渇き、頻尿、体重減少、疲れやすさなどが出ます。しかし多くは健診で偶然発見されます。
問題は、症状がないまま合併症が進行することです。
■ 怖い合併症
長期間の高血糖は血管を傷つけます。細い血管が障害されると、
・網膜症(視力低下、失明の原因)
・腎症(透析が必要になることも)
・神経障害(しびれ、足潰瘍)
が起こります。
太い血管では動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まります。
日本では成人の失明原因の上位に糖尿病網膜症があり、早期からの管理が重要です。
■ 診断はどうするか
空腹時血糖126mg/dL以上、またはHbA1c 6.5%以上などが診断基準です。HbA1cは過去1~2か月の平均血糖を反映する指標です。
■ 治療の基本
治療の柱は「食事療法」「運動療法」「薬物療法」です。
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食事療法
極端な制限ではなく、総エネルギー量を適正化し、野菜を増やし、精製糖質を減らします。体重の5~10%減少でも血糖は大きく改善します。 -
運動療法
週150分程度の有酸素運動が推奨されます。運動はインスリンの効きを改善します。 -
薬物療法
第一選択はメトホルミンが推奨されることが多く、そのほかSGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬などがあります。近年は心血管保護作用を持つ薬剤が重視されています。
血糖コントロール目標は一般にHbA1c 7%未満ですが、年齢や合併症により個別化されます。
■ 予防は可能か
生活習慣の改善により発症リスクを大きく下げられることが大規模研究で示されています。特に体重管理と定期的な運動が重要です。前糖尿病の段階での介入が効果的とされています。
■ まとめ
2型糖尿病は「症状がないうちに進む」病気です。しかし、早期発見と生活改善、適切な薬物療法によって十分にコントロール可能です。放置せず、定期健診を受け、医療者と相談しながら長期的に向き合うことが大切です。
参考文献
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American Diabetes Association. Standards of Care in Diabetes—2024. Diabetes Care. 2024.
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日本糖尿病学会編. 糖尿病診療ガイドライン2023. 南江堂.



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