原先生の「片頭痛:light-induced headache の機作と中枢・辺縁系感作」の講演を動画で拝聴しました。
[演者] 原 直人:国際医療福祉大
片頭痛は、単なる頭痛疾患ではなく、片頭痛症候群とする方が良いほど疼痛以外の多彩な症状の拡がりがある。特に国際頭痛分類の診断基準に含まれている“光過敏”は患者の80%超に認められ、片頭痛患者の脳過敏性亢進の指標の1つであり、片頭痛の病態とも深く関与している。軽視されがちだが、間欠的であるが72時間で落ち着く。拍動性。片頭痛脳と言って過敏性を持つ。閃輝暗点の予兆を持つ物は2-3割でしかない。 肩こりなどの予兆期などの5期に分ける。予兆期に視床下部に興奮が起きる。ジェネレーターは視床下部に有る。病態生理は、三叉神経血管説が有力。其処に感作が関与する。三叉神経核から始まる。光が発作を誘発するらしい。症例は白色LEDで発作が誘発されていて、白色蛍光灯に戻したら軽減した。光過敏に注意。
2002年iPRGC発見。iPRGCが網膜にあり、視床下部から、メラトニン分泌と動向に関与する。これはイメージフォームには関与しない。480ナノメータ、つまりブルーライトに波長反応性が強い。
Harvard大学Burstein教授らは、機能的失明を有す片頭痛患者に対する光刺激が頭痛を増強させることに注目して、非イメージ形成の視覚を認識する内因性光感受性網膜神経節細胞(ipRGCs)の反応であることを明らかにし、更にこの信号が視床後部で中継されて体性感覚野と三叉神経核に至るとする“羞明回路”を提唱している。
慢性片頭痛では、触覚刺激が疼痛として感知される現象である皮膚アロディニア (cutaneous allodynia)を認める場合がある。感覚過敏の一つで臨床的に中枢・辺縁系の感作(central sensitization)が成立したことを示す徴候であるが、この中枢性感作が視覚系にも及び光過敏にも進展すると想定される。慢性頭痛の中枢性感作が皮膚異痛症状につながる。痛みを脳が記憶してしまう。VEPでの研究もある。アロディニア患者は脳が過敏性を持つ。
一方、片頭痛患者は緑色光が最も不快閾値は高く、青色光が最も低いことから、短波長を選択的にカットした遮光眼鏡やフィルターにより光をマネージすることで頭痛を予防している。元は遮光はピンクだったが、演者はMGとFLが良いとする。濃い色を好んだ。バーンスタインは、緑が苦痛を軽減したという。青色480nmが辛い色だから、青が危ない。ヘッドライトで眩しい人にはナイトドライブ用眼鏡を作った。
電子書籍では青を含まないから、アイパッドがだめで、キンドルが楽だ。使うならブルー領域を切るグリーン色の眼鏡が良い。照明にも気を遣う、グリーン系の照明(active care 注:https://sai-interior.co.jp/activecare-lighting/)というものもある。
まとめ:片頭痛は疼痛を伴う。自律神経性疾患。短波長(青)のカットが重要。
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