清澤のコメント:隅角が狭い、または前房が浅いというのは急性閉塞隅角緑内障を疑うべき所見です。この変化は一般的には加齢に伴う白内障の進行によって眼内の自分のレンズが膨化し、虹彩を前方に押すことによって起きると考えられています。ですから、初診時に前房の浅い人は加齢とともに白内障が進行し、レンズは膨化して隅角を一層狭くすることが予測されます。「隅角と前房深度は6 年を隔てた経年変化で狭く,浅くなる」というこの論文は、そこのところを検証したものです。結論は6年を隔てた経年変化は,中心角膜厚は変化なく,隅角は狭くなり,前房深度は浅くなっていたという理解しやすいものでした。
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2022年7月31日 日曜日
《第32回日本緑内障学会原著》あたらしい眼科39(7):963-967,2022 隅角と前房深度は6年を隔てた経年変化で狭く,浅くなる 橋本尚子*1原岳*1本山祐大*1大河原百合子*1成田正弥*1原孜*1堀江大介*2伊野田悟*3千葉厚*1平出奈穂*1田中誠人*1片嶋優衣*1小池由記*1
*1原眼科病院*2亀田総合病院眼科*3自治医科大学眼科学講座 Changes in Anterior Chamber Angle and Depth in NormalHealthySubjects Overa 6-Year Period
目的:隅角,前房深度,中心角膜厚の6年の経年変化を比較検討する.
対象および方法:対象は検査の同意が得られた健常者40名.男性10名女性30名.初回検査時の平均年齢40.4±9.5(21.57)歳.右眼を対象とした.全員内眼手術既往なし.2014年5月と2020年8月にCASIAで隅角(耳側および鼻側 CTIA750およびCTIA500),前房深度,中心角膜厚を測定し,比較検討した.
結果:2014年の耳側隅角CTIA750は42.2±13.2°,TIA500は44.1±14.0°,鼻側隅角CTIA750は38.1±11.8°,TIA500は38.8±12.4°.2020年では耳側隅角CTIA750は35.7±12.2°,TIA500は35.3±13.9°,鼻側隅角CTIA750は32.9±11.5°,TIA500は34.3±12.3°.前房深度は2014年:3.09±0.3mm,2020年:2.99±0.3mmであった.すべて有意差(p<0.01)が得られた.中心角膜厚はC2014年:533±26μm,2020年:533±27μmで有意差はなかった(p=0.31).
結論:6年を隔てた経年変化は,中心角膜厚は変化なく,隅角は狭くなり,前房深度は浅くなっていた
The Shaffer gonioscopy grading system (adapted from Salmon, 20147)
The Shaffer gonioscopy grading system in illustrated form (adapted from Salmon, 20147)
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