神経眼科

[No.1866] 第108回 神経眼科勉強会、聴講録

108回 神経眼科勉強会が2023719日(水)1800分から日本大学病院5階大講堂で行われました。コロナ等の諸事情により前回(2020/12)から2年半以上経過していたものが、今回再開されました。発表者名を伏せて、演題を採録し、短い解説を付けます。主催された日大鹿島先生に感謝いたします。 

プログラム

・「対座法が有用であった接合部暗点の1例」;junctional scotomaとは、視神経と視交叉の接合部に障害が生じたときに起こる視野欠損のことです。特徴は、障害のある側の眼には中心暗点拡散性暗点が現れる。障害のない側の眼には耳側半盲耳側四分の一盲が現れる。これは、視神経の鼻側網膜由来の線維(交差線維)が視交叉で対側に走行するため、障害部位によって同側と対側の視野に影響が出るため。junctional scotomaの原因は、ほとんどが下垂体腺腫クラニオファリンジオーマなどの頭蓋内占拠性病変である。これらの病変は、視交叉前部や視交叉内部に圧迫をかけて、視神経や視交叉の機能を障害するjunctional scotomaは、視野検査で診断される。ハンフリー視野検査やゴールドマン視野検査で、上記のような特徴的なパターンを認める場合は、junctional scotomaを疑う治療後の予後は、障害の程度や早期発見・治療の有無によって異なるが、一部の視野欠損は回復する可能性がある

・「二重膜濾過血漿交換療法が奏功した小児の抗MOG抗体関連視神経脊髄炎の1例」;二重膜濾過血漿交換療法とは、血液浄化療法の一種で、血液中の病因物質を除去する治療法です。具体的には、体外に取り出した血液を血漿分離膜によって血球成分と血漿成分に分離する。分離された血漿を血漿成分分離器に送り、病因物質を含むグロブリン分画を濃縮して廃棄する。病因物質を除去したアルブミン分画を患者に戻す。廃棄した血漿の量と同じだけのアルブミン製剤新鮮凍結血漿を補充する。血球成分も患者に戻す。この治療法の特徴は、病因物質だけを選択的に除去できることで、有用なタンパク質や免疫グロブリンなどを温存できる。また、一般的な血漿交換療法よりも少ない量の補充液で済む。

・「脳脊髄液漏出症や亢進症に対する治療で改善した非器質的視覚障害について」;脳脊髄液に関連した非器質的視覚障害は、眼科的な異常が明らかでないにもかかわらず、視力が低下したり、視野が欠損したりする状態。心因性と判断されることもあるが、脳脊髄液の減少や圧力の変化が原因で起こる場合もある。演者の考えとは異なるが、脳脊髄液減少症では、両側急性視力障害が主訴として現れることがある。これは、視神経周囲のくも膜下腔が狭小化し、視神経に障害を与えるためと考えられている1。手術で髄液漏出を止めると、視力は劇的に改善することが報告されている1水頭症は、脳室に過剰な脳脊髄液が溜まって、頭部の圧力が上昇する病気。この病気では、視力や視野の障害が起こることがある。これは、頭蓋内圧の上昇によって視神経や視交叉が圧迫されるためと考えられている。シャント手術で余分な髄液を排出すると、視力は改善することが報告されている4

・「両眼の視野障害を契機に発見された乳癌の下垂体転移の1例」:乳がんの下垂体転移とは、乳がん細胞が下垂体に広がること1。乳がんの転移性下垂体腫瘍は、トルコ鞍の近くに発生する腫瘍の中で約1%と稀だが、無症候性も含めて発見される例が増えている。下垂体転移の初発症状としては、下垂体後葉から分泌される抗利尿ホルモン(ADH)の減少による中枢性尿崩症によるものが多い。他には、視力や視野の障害、下垂体ホルモンの分泌低下による倦怠感や活動性の低下などがあるが、この発表では視野障害で気づかれた

・「コロナワクチン接種後に動眼神経麻痺を来した1例」;動眼神経麻痺とは、第3脳神経(動眼神経)が障害されることで、眼球の動きやまぶたの開閉に異常が生じる。この患者ではワクチン投与後に初めに起き、コロナ感染で再悪化したという稀な例。

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