清澤のコメント:過去に脳動脈瘤をコイルで閉塞させる血管内手術を受けており、術後は血栓の防止措置が行われていました。今回、突発性に四半盲の視野欠損を起こして20時間程度で受診。めまい、頭痛は軽度で、後大脳動脈末梢の発症初期脳梗塞が疑われます。これについて、今後行われうる各種の治療法を調べて見ました。
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大脳動脈末梢の発症初期の脳梗塞について、その治療法。
脳梗塞は、脳の血管が詰まってしまう病気で、運動・感覚の麻痺などを引き起こすことがあります。治療には、薬物治療とリハビリテーションがあります。また、再発を予防するために手術をすることもあります1。
急性期の薬物治療には、抗血小板薬や抗凝固薬が使用されます。抗血小板薬は、血液をさらさらにして血栓を予防する効果があります。抗凝固薬は、血液を固まりにくくして、それ以上の悪化を予防する効果があります2。
急性期の治療では、t-PAという血栓溶解薬が使用される場合があります。t-PAは、血栓を溶かす作用があります。ただし、使用には時間的制限があるため、発症後4.5時間以内である必要があります2。
リハビリテーションでは、生きている部分の脳で失われた機能を補うことを目指します。リハビリテーションはできる限り早くから開始することが望ましいです2。
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- 急性期脳梗塞に対する脳血管内治療として下の表も見つかりました。
血栓溶解療法 | 血栓を溶かし、血流を再開通させ脳細胞の壊死の進行を防ぐ。 | t-PA ウロキナーゼ |
3時間以内 6時間以内 |
すべての脳梗塞 (とくに心原性脳塞栓症) |
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脳保護療法 | 梗塞部周囲の活性酸素の働きを抑えて、脳細胞の障害の進行を防ぐ。 | エダラボン | 24時間以内 | すべての脳梗塞 |
抗血小板療法 | 血小板の働きを抑えて、血栓ができるのを防ぐ。 | オザグレ アスピリン |
48時間以内に開始するのが望ましい | ラクナ梗塞 アテローム血栓性梗塞 |
抗凝固療法 | 血液の凝固因子に作用して、血栓が大きくなるのを予防する。 | アルガトロバン へパリン ワーファリン |
48時間以内に開始するのが望ましい | 心原性脳塞栓症 アテローム血栓性梗塞 |
抗脳浮腫療法 | 脳の浮腫(むくみ)を取り、周囲の正常な脳細胞の障害を予防する。 | グリセオール マン二トール |
48時間以内に開始するのが望ましい | 心原性脳塞栓症 アテローム血栓性梗塞 |
- 様々な施行しうる治療が上には列記されていますが、t-Paやウロキナーゼによる血栓溶解療法の時間制限は4.5時間程度であり、次の諸手段が選ばれるのかもしれません。幸い、現在の症状は四半盲という視野欠損のみが目立っていて、それ以上の(四肢麻痺や失語症などの脳梗塞の)症状が増悪しなければ、視野欠損が多少残っても大きな生活上の困難は免れることができるかもしれません。
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