格闘技選手が眼部を打撲したということで受診しました。眼球に損傷がなければ、まず眼窩吹き抜け骨折を考慮しますが、そういえば耳鼻科でLe FORT骨折という顔面骨の骨折も聞いた気がしました。
- 眼科吹き抜け骨折:
- 眼科吹き抜け骨折は眼窩前方からの鈍的外力が眼窩内圧を上昇させ、眼窩底ないし眼窩内側壁への骨折を引き起こすものです。
- 眼窩縁は保たれますが、眼球や筋肉などの軟部組織が入った空間の圧力が上昇して上顎洞ないし鼻腔に向けて軟部組織が押し出される形での骨折が起きます。
- 外眼筋や外眼筋の筋膜などがトラップドア状の骨折部に広東すると不寿司を生じて、専門医による手術が必要になる場合があります。
- また、直後に違和感を感じて鼻をかむ動作をすると、鼻腔内の空気が骨折部から眼窩内に吹き込まれて眼窩気腫を生じる事があります。その空気の移動に伴う捩髪音を生じることもあります。
- 眼窩組織の感染への注意も必要です。
- 通常の眼科検査のほかに、眼球運動の評価が必要で、画像診断は骨折がよくわかるのでMRIよりもCTがよいとされます。前額断で眼窩壁の変化を見ましょう。CTでは眼窩気腫も探しましょう。
-
2.Le Fort骨折:
-
- Le Fort骨折は顔面骨折の一種で、顔面中央部の骨格が崩れることを指します。
- 顔面中央部は上顎骨、口蓋骨、頬骨、側頭突起、鼻骨、涙骨、鋤骨、鼻甲介骨、蝶形骨により形成されます。
- Le Fort骨折は3つのタイプに分類されます:
- Le Fort I型骨折 (Guerin骨折): 鼻腔底より上方での水平骨折で、上顎骨歯槽突起や翼状突起を含む可動性のある骨片が侵されます。
- Le Fort II型骨折: 上顎骨の大部分と鼻骨からなる錐体形の骨偏位を来します。眼窩縁は保たれます1。
- Le Fort III型骨折: 頭蓋底と平行した骨折線で、顔面中央部の骨格と頭蓋底が分離します。眼窩吹き抜け骨折とも関連しています。
治療は骨折の種類により異なりますが、必要に応じて外科的整復や固定が行われます。
3.このほかに視神経を外側から圧迫する形で押しつぶし、強い視力障碍を示すものに視神経管骨折があります。これに対しては視神経管開放術という手術があります。外傷性視神経症は外傷性視神経症という括りの概念の中で論じられます。
コメント