神経眼科

[No.2803] 睡眠・覚醒メカニズムはここまで分かった:李若詩、櫻井武

日本医師会雑誌2024.8号(153巻5号)の「睡眠・覚醒メカニズムはここまで分かった:李若詩、櫻井武」という論説の要旨です。本文のテキストを提示して、チャットGPT4oに要旨化を求めると短くも長くも相当に完成した文章にしてくれます。

   ーーー短い要旨ーーー

睡眠・覚醒メカニズム

睡眠と覚醒の制御は、主に恒常性と概日時計によって行われます。恒常性とは、長時間の覚醒が続くとその後の睡眠が深くなるというメカニズムです。一方、概日リズムは約24時間周期で体内時計が調整されています。これら2つの因子に基づいて「2振動体仮説」と「2プロセスモデル」が提唱されています。2振動体仮説は体温リズムと睡眠・覚醒リズムを制御する2つの内因性振動体の相互作用により説明され、2プロセスモデルは恒常性と概日時計の作用で睡眠・覚醒を説明します。睡眠はREM睡眠とNREM睡眠に分かれ、脳の特定の領域と神経回路がそれぞれの睡眠ステージに関与しています。特に、オレキシンという神経ペプチドが覚醒の維持に重要な役割を果たしています。最近の研究では、SIK3というタンパク質が睡眠の質と量を調節することが示されています。

   ーーー長めの要旨ですーーーー

この文書では、睡眠と覚醒のメカニズムについて詳細に説明されています。まず、睡眠と覚醒の制御に重要な役割を果たす2つの因子、すなわち睡眠の恒常性維持と概日時計による制御について解説されています。睡眠の恒常性維持は、覚醒時間が長くなるとその後の睡眠が長くかつ深くなるというメカニズムであり、概日リズムは約24時間周期の生理機能の変動を指します。この2つの因子を用いて、1979年に提唱された2振動体仮説と、1982年に提唱された2プロセスモデルが説明されています。

2振動体仮説は、2つの内因性振動体が結合し、様々な生理リズムを形成するというもので、結合力の強い振動体が主に体温リズムを制御し、結合力の弱い振動体が睡眠・覚醒リズムを司るとしています。一方、2プロセスモデルは、プロセスS(睡眠圧の蓄積)とプロセスC(概日時計による制御)により睡眠と覚醒が調節されるとしています。このモデルは2016年に改訂され、プロセスSとプロセスCの相互作用が含まれるようになりました。

次に、睡眠ステージとそれらを司る神経回路についての説明があります。睡眠はレム睡眠、ノンレム睡眠、覚醒の3段階に大別され、これらは脳波と筋電図により判定されます。ノンレム睡眠はさらにN1、N2、N3の3ステージに分けられ、N3は最も深い睡眠段階で徐波睡眠とも呼ばれます。レム睡眠は急速な眼球運動と高い脳活動が特徴で、夢見との関連が示唆されています。

睡眠・覚醒制御に関わる神経回路は、視索前野(POA)、前脳基底部(BF)、視床(Th)、中脳、大脳皮質などに存在します。POAのGABA作動性神経は睡眠を誘導し、BFは睡眠誘導性と抑制性の両方の神経細胞を持ち視床や橋、延髄にも睡眠誘導性の神経核が存在します覚醒に関わる神経回路は視床下部、視床、BF、脳幹に分布し、モノアミン作動性神経細胞が覚醒を誘導します

オレキシン(別名ヒポクレチン)は、覚醒の安定した維持に関わる神経ペプチドであり、1998年に同定されました。オレキシン受容体にはOX1RとOX2Rの2つがあり、OX2Rは覚醒の安定化、OX1RとOX2Rの両方がレム睡眠の抑制に関与しています。オレキシン産生神経細胞は主に視床下部外側野(LHA)に存在し、モノアミンおよびコリン作動性神経細胞を制御することで覚醒を維持します。

最後に、細胞内分子のリン酸化と睡眠の関係について述べています。筑波大学の研究により、SIK3遺伝子が睡眠量を増やす役割を果たすことが示され、Sik3遺伝子変異マウスが多く眠ることが確認されました。SIK3はヒストン脱アセチル化酵素HDAC4をリン酸化し、これにより睡眠が促進されると考えられています。SIK3は視床下部や大脳皮質などの異なる脳領域で異なる作用を持ち、睡眠の質や量を調節しています。

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