「片方の全盲と反対眼の耳側半盲の意味するものは?」という質問に答えてみます。
清澤のコメント:眼球運動では片眼の内転と外転が止まり。反対眼の内転が止まっているという特殊な眼球運動障害がone and a half症候群と呼ばれて有名ですが、視野の世界でも片眼が全盲かつ反対眼に耳側半盲という視野があります。これは最初の眼の中心暗点と他眼の耳側視野欠損の強い形で見られます。視野のワン&ハーフ盲とでも呼びたい形で、以前3例を提示して神経眼科学会でそれをお話したことがありました。最近も、この形を保っている患者さんが受診してくださいました。
視神経交差付近左右を均等に侵す病変(例えば嫌色素性下垂体線種)では両耳側半盲と呼ばれる視野の変化がみられることがあります。それに似たものではありますが、頭蓋咽頭腫や視神経交差付近の病変で左右に対する影響が不均等な場合にはそのバリエーションを示すことになります。
臨床方法:病歴、身体検査、および臨床検査。→リンク:第3版。ロバート・H・スペクター著の第116章視野の中からそのあたり(視交叉病変)を読み解いてみましょう。
視交叉
すべての網膜の鼻側由来の網膜線維は、視交叉で交差しています(図116.7 )。しかし、下鼻側の線維は反対側の視神経に戻る前に前側で反対側の視神経に入り込みます。反対側の視神経に入る下鼻側軸索のこの前方の肘は、フォン・ヴィルブランドの膝と呼ばれます。視神経交叉と結合する後視神経の病変は、同側の眼の視力障害(中心視野が其れに対応)と、反対側の眼の上部耳側視野の沈下を引き起こします(図116.8 )、これが接合暗点(janctional scotoma)と呼ばれる症候群です。
視交叉自体の本体への損傷は、両耳側半盲を引き起こします(図116.9 )。視神経路の病変は、同名半盲を引き起こします。具体的には、不調和な同名半盲です(図116.10 )。不一致(不調和)とは、視野欠損の非対称性を指します。視神経路内では、交差する鼻線維と交差していない側頭線維は解剖学的に比較的分離されています。したがって、各目からの視野の対応する点は、密接に整列していません。視神経路または外側膝状体の病変による視野の喪失は、それぞれの眼に異なる影響を与えます(図116.10)、それぞれの目で非対称の視野損失が発生します。視野内の対応する点からの鼻側と耳側の繊維が密接に反対しているため、逆向性視野欠損は、ほとんどの場合、一致しているか、まったく同じです。
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