社会・経済

[No.227] ハバナ症候群の眼症状?[日本医事新報 炉辺閑話から]

ハバナ症候群の眼症状?[炉辺閑話] 

    眼科医院開業15年。楽しみは眼科の話題をブログに紹介すること。記事数は1万3000になった。それが時には新聞や雑誌記事にも取り上げられる。大いなる喜びである。最近の珍しい話題を紹介しよう。

    米国の外交官やCIA職員らが、音響攻撃による吐き気や記憶喪失などを訴え、それをハバナ症候群と呼んだ。最近では電磁波を使った新兵器の可能性も検討されている。米バイデン政権も本格的な再調査を始めたという。被害者は過去5年で200人にも及ぶ。最初は2016年にキューバのハバナ駐在のCIA職員らが症状を訴えた。その後それが確認された地域は全世界に広がった。

    被害者は虫の羽が擦れるような音、あるいは耳鳴りや振動を経験した。そして頭痛や耳鳴りなどに襲われたという。そこで、眼症状が無いかを検索してみた。ペンシルベニア大学のチームは、国務省から紹介された21人の外交官(平均年齢、43歳)を検査した。頭を打ったわけでもないのに脳震盪に似た症状を示していたことに専門家は驚いた。認知障害(81%)、平衡機能障害(71%)、視覚障害(86%)、聴覚障害(68%)、睡眠障害(86%)、頭痛(76%)を訴えた。客観的には認知障害(76%)、前庭機能障害(81%)、眼球運動障害(71%)があった。評価時点で67%は休職中だった。多くは症状開始時に騒音が聞こえたと言い、振動感覚もあったと答えた。そして曝露後平均203日で視覚障害が始まったという。

    患者は認知障害に加えて、脳震盪で見られるような眼球運動および視覚の問題を示した。21人中11人で輻輳不全や異常な滑動性追従運動がみられ、10人で衝動性眼球運動障害があった。 13人は光線過敏を訴え、判読困難(12人)、 眼精疲労(11人)もあった。通常の脳震盪患者は時間経過とともに症状が弱まるが、このハバナ症候群患者では、数カ月間障害が続いたという。

    持続する脳震盪様症状を引き起こす秘密兵器があるなら大変だ。もしそれが電磁波に関わるものであるとすれば電子レンジ程度の民生レベル技術で作製できるはずということになる。都市伝説的響きもある話だが、今後の真相解明に注目したい。

    「ハバナ症候群」は新兵器がもたらす症状なのか? 米外交官らが訴え:日刊ゲンダイヘルスケア、清澤記事採録

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