全身病と眼

[No.2703] 眼筋型の筋無力症について:

眼筋型の筋無力症について:

清澤のコメント:神経眼科誌の最新号:神経眼科と免疫特集に眼筋型MGが増田正幸先生によりまとめられています。それによれば:「重症筋無力症は(myasthenia gravis:MG)は全身に症状を示すが、眼瞼下垂や複視、羞明等の眼症状が先行して自覚することがおおく、眼科医に初診となるばあいが多い。近年、全身型MGに対しては数々の分子標的薬が登場しているが、眼筋型MGに対しては保険適用がない。全国多施設共同Japan MG registryによると、2012年と2021年の比較で、経口プレドニン使用率は増加していたが、使用期間に差はなく、調査時用量、最大使用量は低下していた。免疫治療開始時期は早まっていた。免疫抑制剤使用率に差はなく、胸腺摘出術は減っていた。ステロイドパルス療法の使用率は増加していた。その結果、治療目的であるMM-5mg達成は61.0%から73.6%まで改善し、QOLスケールでも改善傾向が認められた。しかし、2021年調査では難治性MG患者が調査され、眼筋型患者においても5.5%存在した。患者背景や治療内容の違いはなく、予測不可能で、今後も一定割合で存在する可能性がある。眼筋型MGにおいても新規治療薬の開発が期待される。」という事でした。。

注:MM-5mg:

重症筋無力症(MG)の治療目標として、minimal manifestations or better status の早期達成と経口ステロイド5mg/日以下の両立(MM-5mg)が掲げられています. この治療目標は、症状の早期改善と良好な生活の質(QOL)を両立させることを目指しています。

具体的には、以下のポイントがあります:

  • MM-5mg:プレドニゾロンの1日の服用量が5mg以下であり、症状が軽微な状態(minimal manifestations)またはそれ以上の状態(better status)にあることを指します。
  • 早期速効性治療戦略(EFT):MM-5mgの達成率を高めるために、血液浄化療法やステロイドパルス療法、免疫グロブリン静注療法などを治療初期から積極的に施行する戦略が報告されています.

重症筋無力症の治療は個々の患者さんの症状や病状に応じて選択されるべきです。

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  • 眼筋型の筋無力症を患者さんに説明するために眼筋型の重症筋無力症についての原因、症状、診断、治療の概略を述べます

重症筋無力症(myasthenia gravis:MG)は、神経と筋肉のつなぎ目である「神経筋接合部」に異常が起こり、神経から情報がうまく伝わらず筋肉の力が弱くなる病気です. 以下に、成人の重症筋無力症の治療についてのポイントをまとめてみましょう。

  1. 症状の把握と診断:
    • 重症筋無力症は、眼筋型(目だけに症状が現れるタイプ)と全身型(眼筋型に加えて全身の筋力の低下が起こるタイプ)に分類されます。
    • 眼筋型では、まぶたの下垂や複視などが主な症状です。
    • 全身型では、目の症状から始まり、階段の上り下りが難しくなったり、嚥下障害(飲み込みがうまくできない状態)が出てきたりします。
  2. 治療法の選択:
    • 治療法は患者さんの症状や病状に応じて選択されます。
    • 主な治療法には以下があります:
      • 抗コリンエステラーゼ薬: 神経から筋肉への信号伝達を増強する薬剤です。
      • 免疫抑制薬: 抗体の産生を抑制する治療として、ステロイドや免疫抑制薬が使用されます。
      • 免疫グロブリン静注療法: 即効性の短期的病態改善治療です。
      • 胸腺切除術: 自己免疫反応の抑制のために行われることもあります。
  3. 治療の流れ:
    • 症状の進行速度や患者さんの状態に応じて、組み合わせや順序が異なります。

治療開始後に、発熱や頭痛など髄膜炎菌感染症が疑われる症状が見られた場合は、直ちに主治医と連絡を取り、適切な処置や治療を受けるようにしましょう。重症筋無力症は適切な治療を続けることで、約7割の人は通常の生活を送ることができるとされていますが、注意が必要です

 

以前に記載した、眼筋型及び漸進型筋無力症に関連した詳しい記事はこちら:

重症筋無力症とは(眼筋型と全身型)

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