全身病と眼

[No.2785] 眼部帯状疱疹とは、症状、診断、治療他

  • 眼部帯状疱疹とは

眼部帯状疱疹は、小児の時に罹患してその後消退した水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)の原因ウイルスであった水痘帯状疱疹ウイルスが再活性化されて、顔面の三叉神経第1枝(前頭部・上まぶた・鼻部で顔面の左右いずれかの片側)に沿って発症する状態です。特に高齢者や免疫力が低下している人に突然発症します。眼科の救急疾患としてとらえるべきものと考えられます。(記事の末尾にハッチンソンサインを伴う重症の眼部帯状疱疹の注記も追記しておきます。)

  • 発生の原因

水痘帯状疱疹ウイルス(VZV: 子供の頃にかかった水ぼうそうのウイルスが体内に潜伏していて、免疫力の低下などで再活性化することで発症します。

  • 誘発される状況

免疫力の低下: 疲労、ストレス、病気、加齢などが原因で免疫力が低下すると、ウイルスが再活性化します。

  • 恐れられる眼合併症

結膜炎: 目の結膜に炎症が起こり充血を示します。

角膜炎: 角膜に炎症が起こり、視力低下や異物感を引き起こす。

虹彩毛様体炎: 眼球内の虹彩や毛様体に炎症が起こり、眼圧上昇や視力低下を引き起こす。

強膜炎: 眼球の壁を形成している強膜に炎症が起こる。

外眼筋麻痺: 炎症に伴って眼球運動に関わる筋肉が麻痺することがあります。

  • 治療

抗ウイルス薬: バルトレックス®などの抗ウイルス薬を内服または点滴で投与します。急性期には全身投与が中心です。

ステロイド薬: 炎症が強い場合にはステロイド薬を併用することがあります。

眼局所治療: 抗ウイルス薬の眼軟膏や点眼薬を使用し、炎症を抑えます。

  • 予後

早期治療: 早期に適切な治療を行うことで、多くの場合は視力が回復します。

後遺症: 治療が遅れると、神経性の痛みや視力低下などの後遺症が残ることがあります。

◎ハッチンソンサインに関連した眼部帯状疱疹の注記:

ハッチンソンサイン(鼻先端の発疹)は、眼部帯状疱疹(Herpes Zoster Ophthalmicus, HZO)において非常に重要な兆候です。このサインは、鼻先端または鼻翼に疱疹が出現することを指し、三叉神経第1枝(眼神経)の関与を示唆しています。このサインの存在は、眼部合併症のリスクが高まることを意味します。

(先の文と重複しますが)以下は、ハッチンソンサインを伴う眼部帯状疱疹の危険性と関連する合併症の説明です:

  1. 角膜炎:角膜に炎症が起こり、潰瘍や瘢痕形成を引き起こすことがあります。これにより視力が低下する可能性があります。

  2. 虹彩炎・ぶどう膜炎:眼の内部の炎症が生じ、痛み、赤み、視力の低下が見られることがあります。

  3. 結膜炎:結膜の炎症が生じ、目の充血や分泌物が増加することがあります。

  4. 前部視神経炎視神経が炎症を起こし、視力低下や視野欠損が発生することがあります。

  5. 網膜炎:網膜に炎症が生じると、視力低下や失明のリスクがあります。

  6. 二次感染:皮膚や眼の感染が重篤化する可能性があります。

  7. 神経痛疱疹後神経痛(PHN)は、疱疹が治った後も長期間続く激しい痛みを伴うことがあります

ハッチンソンサインが見られる場合、早期に眼科専門医の診察を受けることが重要です。適切な抗ウイルス治療と抗炎症治療を行うことで、合併症のリスクを軽減し、症状の管理が可能となります。また、予防接種(帯状疱疹ワクチン)も有効な対策として考えられます。

更に詳しい以前の記載:(この写真は、眼周囲から前頭部だけでなく発疹が鼻尖部に広がるハッチンソンサインも示しています。)

眼部帯状疱疹 (眼の帯状疱疹)とは:

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