超加工食品と若年発症大腸ポリープ
― 女性を対象とした大規模研究が示した新たな懸念 ―
近年、「若年発症の大腸がん」が世界的に増加していることが注目されています。これまで大腸がんは中高年以降の病気というイメージが強く、40~50歳未満での発症は比較的まれと考えられてきました。しかし実際には、食生活や生活様式の変化を背景に、50歳未満で見つかる大腸がんやその前段階病変が着実に増えていることが報告されています。
その中で問題視されているのが、「超加工食品(ultraprocessed food:UPF)」の摂取量です。超加工食品とは、工業的に高度に加工され、保存料・着色料・香料・人工甘味料などを多く含む食品を指します。具体的には、菓子パン、スナック菓子、清涼飲料水、即席麺、冷凍食品、加工肉製品など、現代の忙しい生活の中で日常的に口にしやすい食品が含まれます。
今回紹介する研究は、米国の女性看護師約2万9千人を対象とした前向きコホート研究です。1991年から2015年まで長期間にわたり、食事内容に関する詳細なアンケートと、大腸内視鏡検査の結果を解析しました。対象者はいずれも、研究開始時点でがんの既往はなく、初回内視鏡検査時の平均年齢は45歳、追跡期間の中央値は13年と、非常に信頼性の高い設計となっています。
研究では、超加工食品の摂取量を5段階(五分位)に分けて比較しました。最も摂取量の少ない群では、1日あたりエネルギー調整後で平均3サービング程度だったのに対し、最も多い群では約10サービングに達していました。その結果、将来的に大腸がんへ進展する可能性のある「腺腫性ポリープ(従来型腺腫)」の発見率は、摂取量が最も少ない群で175例、最も多い群で272例と明らかな差が認められました。超加工食品を多く摂る女性ほど、若年期に前がん病変が見つかる確率が高かったのです。
一方で、鋸歯状病変と呼ばれる別タイプのポリープについては、超加工食品摂取量との明確な関連は認められませんでした。この点からも、すべての大腸病変が同じ仕組みで生じるわけではなく、食事の影響を受けやすい病変の種類があることが示唆されます。
著者らは、若年発症大腸がんの増加を食い止めるためには、検診体制の見直しだけでなく、日常的な食事内容、とくに超加工食品の摂取を減らすことが現実的かつ重要な介入手段になり得ると結論づけています。
出典
JAMA Oncology 関連研究紹介
Published Online: December 5, 2025
doi:10.1001/jama.2025.20015
清澤のコメント
眼科診療に携わっていると、生活習慣が目の病気だけでなく、全身の健康に深く関わっていることを日々実感します。超加工食品は「便利」である一方、知らないうちに健康リスクを積み重ねている可能性があります。目の健康を守る意味でも、食生活を少し見直すことは、将来の大きな病気の予防につながるのではないでしょうか。



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