東北医科薬科大学中島一郎教授の監修された「視神経脊髄炎スペクトラム障害について」というパンフレット(中外製薬)をいただきました。
1,視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)とは?
この疾患は「自己免疫疾患」の一つです。日本全国で患者数は約4300人います。男女比は男性1に対して女性9の割合です。発症年齢は30台後半から40代前半が多いです。
主に脳やせき髄、視神経に炎症が起きるのがこの病気の特徴です。ヒトによって、炎症が起きる部位が違うので、症状も様々です。症状が急に進むので、できるだけ早く、神経内科などの専門医、または入院治療ができる眼科を受診しましょう。
視神経:目が見えにくい、視野が書ける、眼の奥が痛い
脳:しゃっくりが止まらない、吐き気や嘔吐がある。
脊髄手足や体の一部がしびれる、感覚がなくなる、強い痛みを感じる。
2,病気の原因、正体は何ですか?
中枢神経系は、主に神経細胞と血管、グリア細胞で構成されています。NMOSDはアストロサイトが炎症で傷つくことで神経の働きに影響が出ます。グリア細胞にはアストロサイト、オリゴデンドロサイト、ミクログリアがあります。
体を外敵から守る免疫の仕組みに異常が起こり、自分自身ん脳やせき髄の細胞を攻撃して壊してしまいます。アストロサイトの足突起には、水分子の出入りを調節するアクアポリン4(AQP4)というたんぱく質がたくさんあります。免疫異常によって増産されている自己抗体(抗AQP4抗体)がこの蛋白質をターゲットとして攻撃します。
3,症状を詳しく教えてください。
視神経の炎症で起こる症状:急な視力の低下、視野が欠けるなどの症状が見られます。目がかすむ、みえにくくなるといった症状が、数時間~数日間で生活に支障をきたすほど進んでしまう事があります。視野が書ける、色の区別がつかない、まぶしい、眼の奥が痛いなどの症状が出る事もあります。視神経の位置と視野異常:炎症が起こっている部分によって、視野が欠ける症状が異なります。
脊髄の炎症でおこる症状:麻痺や脱力(運動機能障害)、しびれや痛み(感覚の障害)などが現れます。(片麻痺、対麻痺、四肢麻痺、単麻痺などがある。)
脳の炎症で起こる症状:止まらないしゃっくり、吐き気、眠気などが特徴的です。視床下部や延髄、大脳など脳の炎症が起きた部位によって違う症状が現れます。
大脳、視床下部、延髄:(眼窩のページなので詳細を省略)
疲労や倦怠感が多くのNMOSD患者さんを悩ませています。体を動かした後に強い疲労を感じることがあります(運動疲労)。歩いたり動いたりすると時に、活動する時間とともに体が動きにくくなる状態をいいます。また、活動の有無にかかわらず、強い倦怠感が生じる事があります。起きたばかりなのに、疲れていると感じる、全く動けないなど、生活に支障をきたすほどの症状が出る音もあります。
ウートフ現象は、体温上昇で一時的に症状が悪化する現象です。運動や入浴、気温の上昇アドで、体温が上昇した時に、視力や筋力が低下することがあります。「ウートフ現象」という一過性のもので、体温が高くなると、傷ついている神経の伝わりが悪くなるためと考えられています。体温が下がると症状は回復します。
他の自己免疫疾患を合併することがあります。NMOSDとは別の自己免疫疾患(重症筋無力症、強皮症、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群などの症状が出ることもあります。気になる症状が有ったら、小さなことでも医師に相談してください。
(診断するために、どのような検査が必要ですか?以下は第2部へ。)
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