近視・強度近視

[No.2943] 近視性網膜分離症(retinoschisis)の自然退縮

近視性分裂症の自然治癒:強度近視においてぶどう腫の中に現れる網膜分離症は、当時医科歯科大にいた馬場先生(現千葉大教授)が大野京子教授と共に指摘したものだったと記憶しております。ミラーを使っても眼底でこれを見るのは難しかったですが、OCT5ラインズの出現で誰でも明らかにみられるようになりました。この網膜分離症が、硝子体による牽引が解けると回復するという症例報告が出ています。この症例報告では経年的に見て網膜に復位が見られ、視力も回復していますが、もし本当に完全な網膜分離が有ったとすれば、その領域には視細胞と神経節細胞層の間の連絡の切断による絶対暗点が生じていたはずです。細い連絡線維が残っているようにも見えています。写真で気になるのは初診時に黄斑円孔も開いていたのでしょうか?中心暗転も順次回復するというのでしょうか?今後も議論がわきそうなところです。

写真と展望:Ophthalmology Retina 第8巻、第10号202410月 ロドリゴ ・フェルナンデス・ナロス、メリーランド州∙ほか。

強度近視の51歳男性がOCTスキャン後に右眼の外黄斑分離症を呈して来院した(A)。眼底検査で硝子体の癒着が認められた。保存的治療を選択し、その後の年次追跡調査で部分的な硝子体剥離が判明し、黄斑構造の回復が進み(BD)、3年後には最高矯正視力(BCVA)が8/20から20/20に改善した。硝子体黄斑の密着した付着が近視患者の分離症の段階的悪化の原因である。部分的な硝子体剥離によるこれらの力の減衰が、このまれな自然退縮の症例を説明できるかもしれない。(図ADの拡大版はwww.ophthalmologyretina.orgでオンラインで入手可能)。

 

メルマガ登録
 

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。