夏の紫外線は目のリスクがいっぱい! 白内障、翼状片、瞼裂斑…大人も子供も対策が大切
清澤のコメント:3週間ほど前に夏の到来を控えてこの記事の内容のインタビューを受けていました。この記事を書いた記者さんは、商品知識を載せた時計工芸新聞の記事を先行させ(本記事末尾参照)、この記事は私のコメントの後に、眼鏡の商品知識を追加されました。
トランジションズという会社は、レンズメーカーから委託された眼鏡(またはコンタクトレン)に、紫外線を当てるとレンズの色が濃くなるという加工を専らに行う米国の企業です。この会社は数年前に日本の眼科医のコンソーシアムを作って、研究会なども行っており、私も参加させてもらったことがありました。この加工は、眼鏡のみならずジョンソンエンドジョンソン社のコンタクトレンズにも取り入れられていると聞きました。
- 公開日:2023年08月03日
しかも紫外線の線量は年々増加…
関東甲信越並びに東北地方の梅雨明けが7月22日に発表され、強い日差しにさらされる本格的な夏がやってきた。それは日差しによる目のトラブルが増える季節の到来でもある。改めて日差しと目の病気について自由が丘清澤眼科(東京・目黒区)の清澤源弘院長に話を聞いた。
「太陽の光は可視光線(波長=400~800ナノメートル)以外に目には見えない、波長がより短い紫外線(400ナノメートル未満)と、より波長が長い赤外線(800ナノメートル以上)などからできています。そのなかで最も目にダメージを与えるのが紫外線です。さらされ過ぎると目の表面組織だけでなく角膜や水晶体や網膜に損傷を与える可能性があります。それは、目のがんや白内障、翼状片、瞼裂斑、目の日焼けなどを起こすリスクを高めます」
紫外線の大半は眼球の表面の角膜と目の中でレンズの働きをする水晶体で吸収され、1~2%は目の一番奥の網膜まで到達するといわれる。紫外線の中にも種類があり、地表に届く紫外線にはA紫外線(UVA=波長320~400ナノメートル)、B紫外線(UVB=同290~320ナノメートル)がある。波長が長いほど目の奥に入り込む性質がある。どの紫外線がどのような目のトラブルを生むかも、徐々に明らかになっている。
「たとえば、白内障は水晶体内の濁りによって目の中に入ってきた光が乱反射してモノが見えづらくなる病気です。本来、高齢者の病気とされていますが、年齢に関係なく屋外で長時間作業をして、紫外線を大量に浴びる漁師や農業従事者、建築作業従事者などに多いことが報告されています。これは紫外線が水晶体内のタンパク質を変質させるからだといわれています」
白目の表面を覆う結膜の組織が紫外線による刺激で角膜に入り込むように増殖する翼状片は、白目の充血や異物感、視力低下や、ものが二重に見えるといった症状を引き起こす。
紫外線は角膜の上皮細胞を脱落させて目の中に炎症を起こしたりもする。とくにメガネやコンタクトレンズを装着している人のなかには、横から入ってくる太陽光が角膜の裏にある前房と呼ばれる空間で変に屈折して反対側の組織に集まって瞼裂斑といわれるやけどを起こすこともある。
さらに、目の一番奥にある網膜の外側にある網膜色素上皮細胞を損傷することがある。これは黄斑変性症の発症リスクを高めることもわかっている。
また紫外線は目の中の組織や皮膚を介して脳に働きかけてアセチルコリンやアドレナリン、ドーパミンといった脳内物質の分泌量を変化させる。これによって記憶や学習能力の低下にも関係していることが報告されている。怖いのはそんな紫外線の線量が年々増加していることだ。気象庁の公表データによると、定点観測地点であるつくば市の地表に注がれる紫外線量は1990年の観測開始以来増え続け、その増加率は10年当たり4.1%だという。
「もちろん、適度な太陽光の健康的な暴露は睡眠や近視の予防につながります。皮膚にとりついた微生物などを除去するためにも必要です。しかし、紫外線の強い季節は大人だけでなく子供も過度な太陽光を浴びないよう予防策をめぐらすことが必要です」
しかも紫外線の線量は年々増加…
■屋外ではサングラスの着用を
これは日本眼科医会のみならず、米国眼科学会でも繰り返し警告していることだ。では、どうすればいいのか?
長時間屋外で過ごす場合は、サングラスを使用することだ。なかにはサングラスを濃いめのレンズで表情を隠した、不良っぽい、若者が好むイメージをもつ人もいるかもしれない。しかし、いまはビジネスシーンで使えるサングラスも増えている。
「今季、サングラスの売り上げは好調です。新型コロナ予防でのマスクは使わなくなり、普段使いのメガネでも顔周りの印象を高めるアイテムとして、ライトカラーレンズを選ぶ人が目立ちます。その延長で強い紫外線にさらされる屋外では濃い色になって目を守り、屋内では薄い色に変わって表情が見える『調光レンズ』が度付きも含めて人気になっています」
こう言うのはパリミキ、金鳳堂など大手メガネ小売りチェーンを運営する㈱パリミキホールディングスの澤田将広代表取締役社長だ。東京・JR渋谷駅ハチ公口近くのタワーレコードビル前にある同社渋谷店では、サングラスの売り上げが対前年比1.5倍だという。
「渋谷店はおしゃれに敏感なお客さまが多く、サングラスの売り上げがグループナンバーワン。海外ブランドのサングラスも豊富で、たとえばRay-Ban(レイバン)は、ニコン・エシロール社製の調光レンズ『トランジションズ』にセルフレームのウェイファーラーやスリムなラウンドメタルフレームを組み合わせたものなどが人気です。また、定番モデル『クラブマスター』を大胆に進化させた新作『メガクラブマスター』を希望される人も多い」(澤田氏)
デザインは好みだが、海外ブランドは自分のシルエットに合わないのでは、と思う人もいるかもしれない。
そんな人には日本発のアイウエア「A.D.S.R」などがある。海外で研鑽したデザイナーがアパレルショップから展開して成功したブランドで、日本人の骨格に合ったデザインが人気だという。より手ごろな値段を求める人にはパリミキオリジナルブランド「Reboot」がおすすめだという。
「サングラスは目を保護すると同時に、自分を演出するのに適したアイテムです。いまはフレームにしても体に優しい素材が使われるなど、きちんと選べばよりファッショナブルで心地良いものが手に入ります。たとえば、アレルギーのある人には人工骨にも使われるチタン合金を用いたニッケルフリーのフレームがあり、弾力があるので壊れにくい」(澤田氏)
カッコよくて目の健康維持のためになる。あなたもサングラスの着用を考えてみてはどうか。
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