「ロービジョンケアの実際と、外来眼科医にできる支援」
視野が大きく欠け、視力も低下し、すでに身体障害者手帳の等級が認定されている網膜色素変性症の患者さんに対して、現代の眼科医が提供できる治療には限界があります。進行そのものを止める決定的な治療はまだ確立されておらず、進行をゆるやかにしたり合併症を管理したりする程度にとどまるのが現状です。その一方で、視覚を使った生活をどう支え、残された視機能を最大限に生かして生きやすくするかという視点に立てば、眼科が担える役割は決して小さくありません。目と心の健康相談室理事長である荒川さんから「ロービジョンケアへの導線をつくることが重要」と助言をいただいたように、患者さんが適切な支援にたどり着けるように橋渡しすること自体が極めて大きな医療行為になります。
ロービジョン外来では、まず患者さんが日常生活でどの点に困っているのかを丁寧に聞き取り、それを解決するための視覚補助具や環境調整を提案します。たとえば、文字が読めない方には拡大読書器、携帯型の電子ルーペ、コントラストを上げた照明の使い方などが示されます。視野が狭い場合には、視野を補うプリズム眼鏡や、歩行の安全を高めるための白杖の使い方指導、さらには移動支援サービスとのつながりをつくることも行われます。仕事や学業を続けたい方には、パソコンの音声読み上げソフトや拡大表示機能の設定を一緒に調整し、実際に使える状態にしてお返しします。家事や日用品の識別に困る方には、色のコントラストを利用した工夫や、キッチン用具の選び方など、実生活に直結する具体的なアドバイスが提示されることも多いものです。
また、患者さんが「どこまで自分ででき、どこから支援を求めてよいのか」を理解することもロービジョンケアの大切な部分です。自治体の障害福祉サービス、同行援護や移動支援、就労支援、教育機関のサポート体制など、社会資源の案内と申請のサポートをロービジョン外来が担う場合もあります。必要に応じて心理的なサポートを紹介し、視覚障害による喪失感や不安の軽減にも寄り添います。網膜色素変性症はゆっくり進行するため、その過程で何度も喪失体験が積み重なりやすく、心理支援が欠かせないことも珍しくありません。
では一般外来の眼科医に何ができるのでしょうか。第一に、患者さんの視機能の現状を正確に評価し、ロービジョンケアの対象となるタイミングを適切に判断することです。「まだ早い」と判断してしまうと、患者さんは必要な支援を受けられずに困難を抱え続けてしまいます。第二に、信頼できるロービジョン外来や視覚リハビリテーション施設への紹介状を書き、受診につなげることです。紹介の際には、視野や視力の具体的数値、患者さんが日常で困っている点、これまでの治療経過を簡潔にまとめて添えると、ロービジョン外来での支援がよりスムーズになります。第三に、ロービジョン補助具の導入後も、患者さんの視力や状態をフォローし、必要に応じてサポート内容を更新できるよう連携を続けることです。
ロービジョンケアは「治らない病気に対して何もできない」という医療の限界を補うものではなく、むしろ患者さんの生活を再構築し、自立と希望を支えるための積極的な医療行為です。網膜色素変性症の患者さんにこそ、この包括的な支援の導線をつくることが、外来眼科医にとって大きな役割と言えるでしょう。
追記:都内(目黒区近辺)で私の様な開業医が失明ないし、準失明状態の眼科患者さんを紹介できるロービジョン外来を標榜している医療機関や眼鏡店を挙げて見せてください。
ChatGPT:の回答です。
都内ですとかなりの数がありますが、
「目黒区から紹介しやすい」「ロービジョン外来・ロービジョンケアを明記している」ところに絞って、
①医療機関 ②眼鏡店(+参考になる福祉施設)に分けて挙げてみます。
① 開業医から紹介しやすい「ロービジョン外来」併設の医療機関
1. 独立行政法人 国立病院機構 東京医療センター 眼科(目黒区)
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所在地:目黒区東が丘2–5–1(駒沢公園の北側)独立行政法人国立病院機構 東京医療センター
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特徴:感覚器センター内に眼科があり、
網膜変性症・遺伝性眼疾患・視神経疾患などの専門外来に加え、
公式ページで「ロービジョン外来」を明記。
症状が固定した視覚障害患者に、残存視機能を活かす支援を行っているとされています独立行政法人国立病院機構 東京医療センター。
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紹介のポイント:
・目黒区内なので、地理的にも患者さんに説明しやすい中心的拠点。
・遺伝子診断や遺伝子治療(網膜ジストロフィなど)にも力を入れているので、
RP 等の患者さんを「診断+ロービジョンケア」の流れで紹介しやすい施設です。
2. かきのき眼科(品川区/西小山)
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所在地:品川区小山(東急目黒線 西小山駅すぐ)柿の木医院
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標榜:一般眼科・小児眼科に加え、「ロービジョン外来」「メガネ外来」を明示柿の木医院。
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特徴:
・開業医スタイルのクリニックで、ロービジョンケアに対応。
・目黒区・大田区南部からもアクセス良好。
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紹介のイメージ:
・「大学病院レベルの精査までは不要だが、
ロービジョン補助具の選定・生活支援の具体的アドバイスを受けたい」
という患者さんに向いています。
3. 東京大学医学部附属病院 眼科 ロービジョン外来(文京区 本郷)
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所在地:文京区本郷7–3–1東京大学医学部 眼科学教室
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特徴:
・専門外来の一つとして「ロービジョン外来」を明記。
・拡大読書器・ルーペ・単眼鏡・遮光眼鏡など各種補装具の紹介、
ロービジョングッズや福祉施設の案内、ご家族への残存視機能の説明などが行われます東京大学医学部 眼科学教室。
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紹介のポイント:
・診断が難しい症例や、大学病院レベルの全身連携を要する患者さん向き。
・紹介状必須と考えてよいパターンです。
4. 国立成育医療研究センター 眼科(世田谷区大蔵)
5. 杏林大学医学部付属病院 杏林アイセンター ロービジョンルーム(三鷹市)
6. 帝京大学医学部附属病院 眼科 ロービジョン外来(板橋区)
7. その他(都内ロービジョン外来を標榜している医療機関の全体像)
日本ロービジョン学会や東京都眼科医会のサイトでは、
都内のロービジョンケア実施施設が一覧で公開されています。JSLRR+1
目黒区近辺からのアクセス・患者さんの属性を考えながら、
上記ディレクトリを見て追加候補を選ばれるとよいと思います。
② ロービジョンケアに積極的な眼鏡店(東京都)
1. イシザワメガネ お茶の水本店(千代田区)
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特徴:
・大学病院眼科指定店で、東京都眼科医会の「東京都ロービジョンケアネットワーク」に加盟。
・本店にロービジョンコーナーを設置し、大学病院眼科と連携しながら
ロービジョンケアを行っていると明記石沢眼鏡。
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サービス:
・ルーペや弱視用眼鏡、遮光眼鏡などを試しながら選定。
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紹介のイメージ:
・大学病院のロービジョン外来で補助具の方向性が決まった後に、
実際の眼鏡・補助具を作成する場として紹介しやすいです。
2. 高田眼鏡店 本店(杉並区)
3. 朝倉メガネ(複数店舗・都内)
4. 東京都眼科医会「ロービジョンケア福祉施設・眼鏡店検索」
③ 参考:医療機関ではないが、ロービジョン患者さんの支援に役立つ施設
医療機関・眼鏡店とは別に、
視覚リハビリ・生活訓練・就労支援を担う福祉系の拠点もあります。
重度視覚障害で、歩行訓練・点字・PC習得・就労を視野に入れる場合は、
上記のような施設も併せて紹介すると患者さんの将来設計が立てやすくなります。
まとめ:紹介の組み立て方の一案
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目黒区近辺で完結させたい症例
→ 東京医療センター眼科ロービジョン外来 + かきのき眼科
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小児・若年で教育・進学支援が重要な症例
→ 国立成育医療研究センター、杏林アイセンター など
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診断が難しい、全身疾患・遺伝学的検査を含む症例
→ 東京医療センター、東大病院、帝京大学 など
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補助具の作成・調整を重視する場面
→ イシザワメガネ、高田眼鏡店、朝倉メガネ などのロービジョン対応店
いずれの施設も、紹介状に
「現病歴・原因疾患・視力・視野・OCT・福祉申請状況・患者さんの困りごと(読書・歩行・就労など)」
を簡潔にまとめて添付しておくと、
ロービジョン側でも評価と訓練計画を立てやすいと思います。
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