清澤のコメント心因性視力障害を診断するには間違いやすい多くの疾患があります。レーベル病を含む家族性視神経疾患、家族性レチノスキシス、そして網膜外節が局所的に脱落するAZOOR、更に網膜下に液体がたまる中心性網脈絡膜症なども考えられます。ですから、いきなり心因性では?と思考を進めずに、考えられる網膜や視神経の疾患を丁寧に考えて除外してみるみることが大切です。
英語ではこれをfunctional visual lossと呼びます。機能的視覚損失 (FVL) は、器質的病変によって引き起こされない視力および/または視野の低下です。したがって、「非器質性視覚損失」(NOVL) とも呼ばれます。この存在は、「転換性障害」、詐病、身体症状性障害、および「虚偽性障害」の範囲内にあると考えられています。(米国眼科学会 2023 年 4 月 24 日)
心因性視覚障害は、心理的な原因によって引き起こされる視機能の異常で、眼には器質的疾患を認めません。 視機能の異常としては視力低下のほかに視野異常などをみとめることもあります。 発症は7歳~12歳の女児に多く、男児の約2倍と言われています。 仮病と思われるかもしれませんが、本人は本当に視力が出ないと思い込んでいることがこの病気の特徴で、決して嘘をついて視力が出ないわけではありません。
心理的ストレスで精神的葛藤、欲求不満などが原因となることもありますが、普段は良く見えているのに、視力検査をすると見えなくなってしまうこともあります。 原因の背景は人によって非常に様々で、些細なことでも原因となることがあります。 家庭環境での親やきょうだいとの関係や、学校での友人や先生との関係に悩んでいる場合、宿題や習い事などが負担になっている場合などもあります。 我慢していることをうまく表現できず心理的ストレスになることも考えられます。
治療にあたり、まず原因となっている心理的ストレスを取り除くことが第一の治療となります。 そのためには家族を含めた周囲の人々の理解と協力が必要となります。 眼球に異常がなくても、何かしらの問題を抱えているのだと言うことを受け止めてあげることが大切です。 ちょっとした環境の変化ですんなり視力が出るようになることもあります。 症状の改善を認めない場合は心療内科や(小児)精神科の受診が必要となることがあります。
自由が丘清澤眼科では臨床心理士を招聘し月に一度の臨床心理カウンセリングセッションを用意しております。
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