小児の眼科疾患

[No.856] 低年齢での近視増加。国内初の子ども近視実態調査:yahooニュース記事抄出紹介

低年齢での近視が増加。将来、視覚障害のリスクも。国内初の子どもの近視実態を調査【専門医】:yahooニュース記事抄出紹介

清澤のコメント:小児の近視増加は大きな問題であり、東京医科歯科大学では大野京子教授と五十嵐多恵講師を中心にその治療研究が行われています。今日は、五十嵐多恵先生が監修したたまひよクラブの記事がヤフーニュースに公表されました。太陽光の下で過ごす時間確保の必要性は述べられましたが、アトロピンやオルソケラトロジーなど保険採用されていない近視治療の具体的手法はこの記事では省略されています。私も取り入れている近視予防治療の内容は、このブログの別記事をご覧ください(この記事の末尾参照)。とりあえず、五十嵐記事の要点を採録させていただきます。

   ―――要点採録――――

8/26(金) 12:55配信

 

子どもの近視の状況を正確に把握するための調査が、20214月~12月に国内で初めて行われ、その結果が発表された。

低年齢での近視が増加。将来、視覚障害や失明やリスクも…

近視とは 「目の表面の角膜から、目の最も奥にある網膜までの眼球の前後の長さが眼軸長。眼軸長が長く伸びると、近くは見えるが遠くは見えなくなる。これが軸性近視。2021年度の「児童生徒の近視実態調査」は、8600人の近視状況を正確に調べた。小学6年生の時点で成人の長さに達していることがわかる。一度伸びた眼軸長は短くならず、眼軸長が長くなるほど近視は進む。現在の子どもたちは、低年齢から近視が進行しているということがわかった。低年齢で近視になると、大人になるまでに強度の近になる可能性が高く、強度近視になると眼軸長は一生伸び続けることが明らかとなった。中高年以降、緑内障網膜剥離、近視による網膜の病気になるリスクが高まる。

国をあげて子どもの近視抑制に取り組んでいる国々を見習おう

1979年から毎年、全国の幼稚園、小中学校、高校を対象に『学校保健統計調査』を行っていて、約333万人を対象に健康診断を実施していた。2021年度の結果を見ると、小学6年生は約半数を占め、中学3年生になると6割を超えていた。この状況は日本だけのものではなく、世界的に見ても子どもの近視は増加傾向にある。東アジアでは受験競争によって、以前から近視は増加していた。これに加えて、近年は電子端末機器を使う時間の増加など、子どもを取り巻く環境が世界規模で大きく変わった結果、かつて近視が少なかった国々でも、近視の人口が急激に増えている。2000年には世界の近視人口は14億人、強度近視人口は1.6億人だったが、2050年には、世界人口の半数の48億人が近視となり、世界人口の約1割の9.4億人が強度近視になるという研究発表がある。この状況はWHO(世界保健機関)も公衆衛生上の懸念があるとしている。東アジアでの近視の増加は、学習環境が影響していると考えられている。欧米では、屋外活動が学習スタイルの1つとして定着している。この違いが子どもの視力に大きな影響を与えている。 最近の研究で、近業時間が長く、屋外で過ごす時間が短い子どもたちは、近視がオッズ比で最大2.6倍高いことが示された。シンガポールは2001年から国策として近視を防ぐための屋外活動キャンペーンを大々的に実施し、増加する小学生の近視を食い止めることに成功した。台湾では2010年から、小学校で12時間の屋外活動時間を確保したところ、視力0.8未満の小学生の割合が5パーセント以上減った。台湾は、同様の対策をプレスクールの子どもにも実施し、小学校での対策よりも高い予防効果が得られた。日本の近視対策は非常に遅れていて、具体的な近視予防策の指針は出されていない。このため、低年齢の小児の近視が増加し続けている。電子機器の適切な使用方法や、近視の予防対策の啓発がこれ以上遅れると、日本では近視の子どもがさらに増え、重症化することが懸念される。 対策が進む国際社会の動向を見習わなければ、日本が視覚障害に苦しむ人も多い国になってしまうのではないか。

子どもの近視を抑制する治療はある。でも日本では保険適用外の自費診療

低年齢で近視になってしまうと、強度近視となり、眼軸長の伸びが止まらなくなることが心配される。近視抑制の有効性が国際的に認められている治療法はいくつかあり、海外では近視の子どもたちに発症の早期から提供されている。残念ながら日本では今のところ、海外で有効性が認められている治療のすべてが厚生労働省の承認が得られておらず、未承認だ。このため基本的に保険適用外の治療となり、自費診療となってしまう。そのため、親の情報量や経済状態の違いによって子どもの視力に格差が出てしまうことも、非常に問題視している。 子どもの近視進行抑制治療として行われるものの中には、国際的に明確なエビデンスやコンセンサスが得られていないものも多くあるので、子どもに受けさせる前に、医師の説明をよく聞き、疑問点や不安なことは解決してから受けるように。近視治療外来がある眼科や、近視を専門とする先生に相談するのがいいだろう。近視人口の多い日本は、近視を軽く見る傾向にあるが、長寿社会では、近視は怖いもの。強度近視を防ぐためには幼児期からの管理が必要である。

(東裕美、ひよこクラブ編集部) たまひよ ONLINE編集部記事より抄出。

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児童生徒の近視進行予防対策は?

子供の近視進行抑制の5ステップ:米国眼科学会資料紹介

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