小児の眼科疾患

[No.202] 視神経病変を疑われた両側の鼻側視神経乳頭低形成の一例:清澤眼科医院からの症例報告(原著)です。

清澤のコメント:先日、元岐阜大学の山本教授のSSOHの総説をこのブログで紹介しましたが、この度は、ORT森敦子さんが原著論文を書き上げてくださいました。読み直してみても前文及び考案とも過不足なく記載されており、清澤眼科医院(南砂町)の職員が日常の診療作業をこなすだけでなく、研究的アクティビティーを保てているという事を誇らしく思いました。図はブキャナン1081年ですが、ラストオーサーはホイトさんです。

 森敦子、田添千智、小町祐子、井出奏絵、平井幸子、石川弘、清澤源弘、清澤眼科医院、

A case of bilateral nasal opic disc hypoplasia suspected of optic chiasmal lesions: Atuko Mori, Chisato Tazoe, Yuko Komachi, Kanae Ide, Yukiko Hirai, Hiroshi Ishikawa, Motohiro Kiyosawa, Kiyosawa Eye Clinic.

要約

目的:両眼の乳頭所見と耳側視野欠損により、視交叉病変が疑われた鼻側視神経乳頭低形成例を報告する。

症例:15歳男性。羞明と見えずらさを主訴に近医を受診した。両乳頭鼻側の浮腫様所見と両耳側1/4盲様の視野欠損により視神経交叉病変が疑われたが正常MRIだったため、当院に紹介され受診した。視野は両眼ともMariotte盲点に連なる楔状欠損で、欠損に一致して乳頭鼻側に低形成の所見を認め、一年後も視野欠損の進行が認められなかった為、両眼の鼻側乳頭低形成と診断した。

結論:視神経乳頭の部分低形成ではMariotte盲点に連なる楔状の視野欠損を呈し、欠損部に一致する乳頭部分に暈輪を認める。これらの特徴を知っておく事で診断が可能である。

――――

緒言から:鼻側の乳頭低形成については1981年にBuchananらによりNasal Optic Hypoplasia (NOH)として報告されており、診断基準として、小乳頭、乳頭鼻側組織の減少、鼻側もうまく周辺の神経線維層(nerve fiber layer: NFL)の欠損、Mariotte盲点から耳側に連続する楔状の視野欠損が提唱されている。さらに、OhguroらによりNOHには-5.00D以上の近視が多いことや、光干渉断層計で視野欠損に対応する鼻側のNFLに減少が示されることが示された。視神経乳頭低形成は先天異常であるため視野異常の自覚はなく、非進行性である。―――

考案から:視神経乳頭の大きさは通常D/DD比(ディスクマクラ/ディスク直径)2.4から3.0とされ、臨床上3.0以上を小乳頭、2.4以下を大乳頭としている。NOH1つの所見として小乳頭が挙げられているが、本症例は右2.57、左2.62と通常サイズであった。屈折は中等度の近視、―――

SSOH:上部視神経低形成とは:再訪

 

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