小児の眼科疾患

[No.2493] 「小児眼科診療について」教育講演(国立成育医療研究センター眼科林思音先生)要旨

以下は、日本の眼科に採録されていた学校医連絡協議会で行われた「小児眼科診療について」の教育講演(国立成育医療研究センター眼科林思音先生)の概要と記録から抜粋した要旨です。大変参考になりますのでご一読ください。

1,3歳に検診における精密検査の目的:

  • 精密検査の目的: 弱視の発見と原因検索であり、弱視の可能性がある場合は網羅的な検査が必要です。

2,弱視の分類

  • 弱視の分類: 屈折異常、不同視、斜視、形態覚遮断の4つに分類され、それぞれの原因に基づいて治療が行われます。
  • 治療と予後: 特に重篤な弱視は治療が困難であり、早期発見と適切な治療が予後に大きく影響します。

3,フォトスクリーナーの評価:

  • 屈折異常判定: スポットビジョンスクリーナーを用いた研究では、弱視検出の感度は高いが特異度は低い。フォトスクリーナーは調節の介入が少ないが、自然瞳孔下では正確でないため、精密検査が必要。
  • 斜視判定: 斜視の異常判定の感度と特異度は高いが、撮影条件が悪いと偽陽性になることがある。内斜視では遠視評価が重要で、眼鏡処方は乳児と幼児で基準が異なる。
  • 検査不能: 強い屈折異常や器質的疾患があるとフォトスクリーナーで計測できない。検査が終了しない場合は器質的疾患の存在を疑う。

4,弱視の治療

  • 眼鏡処方: 弱視のある患者には、まず調節麻痺下の屈折値に基づいて眼鏡を処方し、鮮明な視像を得る。
  • 治療効果: 米国の研究によると、眼鏡装用により中等度不同視弱視の77%が視力改善、斜視弱視の75%が改善を示した。
  • 眼鏡装用の確認: 処方後2〜3ヶ月で眼鏡の適合性と装用状況を確認し、必要に応じて弱視訓練を行う。

5,診察困難症例への対応

  • 神経発達症: 自閉症スペクトラムや注意欠如・多動症などの増加傾向にある神経発達症に対し、眼科的評価が重要。
  • 視機能障害: ASD患者は正常発達児に比べて眼科的疾患が多く、視知覚特性の評価が必要。
  • 診察の工夫: 診察が困難な場合は他覚的検査を優先し、屈折異常が疑われる場合は眼鏡を処方する。

  ――資料―――

1 精密検査受診勧告の基準(URL1 から引用)

1)視診にて異常所見がある

2)固視の異常がある

3)斜視がある,あるいはその疑いがある

4)眼球運動異常がある

5)問診票に 1 つでも該当項目がある

6)二次検査で視力の再検査を実施した結果,左右いずれかでも視力が 0.5 に満たないもしくは検査不能

7)屈折検査を導入している場合

  a.異常判定基準に該当する

  b.検査ができない

  c.検査に協力的でも測定不能

―――――――――

2:乳幼児の屈折矯正ガイドライン

  ―――――――

スポットビジョンスクリーナーとは

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