学校の眼科健診の季節になりました。斜視疑いの「偽斜視(ぎしゃし)」として知られるabnormal angle Kappa(異常角カッパ)は、見かけ上の斜視(pseudo-strabismus)の原因となる重要な概念の一つです。以下に、その定義、分類、臨床的重要性を説明します。
- カッパ角(angle Kappa)とは?
カッパ角(angle Kappa)とは、
- 視軸(visual axis):固視している対象から角膜中心を通り、網膜中心窩に達する線。
- 眼球の光軸(optical axis):角膜と水晶体の光学的中心を結ぶ線。
この視軸と光軸の間の角度がカッパ角です。
- 正常な角カッパ角
- 通常、角カッパは+角カッパ(positive angle Kappa)であり、視軸は光軸よりやや鼻側に位置します。
- そのため、正面を向いているときに角膜反射(Hirschberg testでの反射)は角膜の中心より少し鼻側に位置するのが正常です。
- 異常カッパ角(abnormal angle Kappa)と偽斜視
(1)正の異常角カッパ(abnormally large positive angle Kappa)
- 視軸が極端に鼻側にある場合、角膜反射がより鼻側に見える。
- 結果として、他人から見ると目が外を向いているように見える(外斜視様)。
- これは魏斜視(pseudo-exotropia)と呼ばれます。
(2)負のカッパ角(negative angle Kappa)
- 視軸が光軸より耳側にある場合。
- 角膜反射は角膜中心より耳側に位置。
- 結果として、内斜視様に見える(pseudo-esotropia)。
- 臨床的意義
偽斜視(pseudo-strabismus)と鑑別すべき点:
- 本当の斜視(true strabismus)との区別が必要です。
- カバーテスト(cover test)で斜視か否かを評価。
- 特に小児の場合、親が「目がずれている」と心配して来院することが多い。
その他の臨床状況:
- 白内障手術や屈折矯正手術後にカッパ角の変化が起こり、光視症や中心窩とIOL光軸の不一致が問題になることも。
- 多焦点眼内レンズ挿入時には、角カッパの大きさが適応選定の重要な要素。
- まとめ
項目 |
正常 |
異常(魏斜視) |
カッパ角 |
約+5度(視軸が光軸より鼻側) |
正の角カッパ過大 or 負の角カッパ |
見かけ |
やや外向きに見えるが正常 |
実際は正位でも斜視に見える |
臨床的意義 |
正常視機能では問題なし |
真の斜視との鑑別が重要 |
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