小児の眼科疾患

[No.413] 近視の疫学と進行予防(日本医師会雑誌3号から)

キヨサワのコメント:今月の日本医師会雑誌では子供の近視、大人の近視を特集で取り上げています。近視という眼科では最も患者数が多いが決定的な治療法がない疾患ですが、最近様々な治療法が検討されています。その全体像を網羅した討論会のサマリーです。(参加者:寺崎浩子、大野京子、福下公子、不二門尚)

座談会の概要:

スマホ多用などの生活行動により、日本を含むアジアで近視が急増。ことに、病的近視は成人の重篤な視力障碍の一因である。

■近視の動向と疫学

 ●近視の増加と低年齢化:眼軸長の伸長と角膜や水晶体変化。

  Brian Holden教授の報告:このままだと2050年に半数が近視となり約一割が強度近視になる。2021年から新たな調査が行わわれる。近視は低年齢化している。環境因子:スマホやパソコンの多用。Covid-19流行の影響もある。

 ●文部科学省による小児の近視の実態調査:オートレフケラトを含め9000人程度の規模で3年間の連続調査を行う。性差:各学年で女子のほうが近視は多い。環境因子も関与か?

■近視発祥のメカニズム:アマクリン細胞を介した調節ラグ理論と軸外収差理論がある。屋外活動に関してはドパミン仮説が有力。

■近視の合併症ーー緑内障:強度近視の合併症として緑内障が重要。が夏が低く、緑内障診断なく失明する緑内障がある。眼圧が低い緑内障は黄斑変性よりも多い。「強度近視を見たら緑内障を疑え」というくらい。

■VDT作業と近視の関連:最近はVDT(Visual dysplay terminal)に囲まれてる。VDT作業における厚労省のガイドライン:一連続作業時間を1時間以下にする。タブレットを持たせるGIGAスクール構想との関連は:矯正視力はよくて、調節力の低下やドライアイを示す例がある。スマートホンはタブレットより近くで見る。

■成人の近視進行:18から22歳の3年間で0.5D近視化した。21歳で90%は近視進行が止まった(COMET研究)。一般に15歳までに近視進行は止まる。強度近視症例に対しては大人になってからも眼軸長進展の抑制が失明回避には必要。後部ぶづしゅは7歳ですでに存在する。強度近視と病的近視の違いは高部ぶどう種の有無。

■眼鏡作成のタイミングと注意点:裸眼視力と屈折度数は必ずしも平行しない。学校検診後の受診率は約50%で受信勧奨の半数は受信していない。福下はー2.0D以上は眼鏡処方すると。低矯正よりは完全矯正に。眼科での処方が必要。

■小児の近視に対する治療:アトロピンはまずシンガポールで0.01%、その後0.025%や0.05%のより良い有効性が示された。次にオルソケラトロジー(自費診療)身長処方で小児でも可能。近視進行予防の効果もある。DIMS(deforcus incorporated multiple segment)レンズ(周りに多数のmyopic deforcusセグメントを持つ)。クーパービジョンのMiSightという小児の近視進行抑制用コンタクトレンズ。

■近視予防の啓発活動:30-30-30ルール;30センチ離れて、30分見たら20-30秒目を休める。+一日2時間の屋外活動。GIGAスクール構想へのポスター「ギガっこ デジたん!」ができている。

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注:自由が丘清澤眼科医院ではオルソケラトロジーおよびアトロピン点眼治療を含む近視治療にも取り組んでおります。当医院のオルソK処方の解説はした記事を語参照ください。

眼鏡・コンタクトレンズ処方

 

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