小児の眼科疾患

[No.526] 視交叉病変を疑われた両側の鼻側視神経乳頭低形成の一例:自著論文紹介

清澤のコメント:昨日紹介した上方視神経部分低形成(SSOH)と類似の症例ですが、この場合にはマリオット盲点から外側に視野欠損が現れます。できればある疾患の患者さんをまとめて、少数でも症例シリーズで、そして一例報告でもまとめた論文を出すと自分たちの理解が深まります。この症例報告は石川弘先生がご指導くださいました。
視交叉病変を疑われた両側の鼻側視神経乳頭低形成の一例
森 敦子田添 千智小町 祐子井手 奏絵平井 幸子石川 弘清澤 源弘
キーワード: 鼻側視神経低形成, 両耳側視野欠損, 楔状視野, 上部視神経低形成

2021 年 50 巻 p. 135-138

DOI https://doi.org/10.4263/jorthoptic.50F116
抄録

【目的】両眼の乳頭所見と耳側視野欠損により視交叉病変が疑われた鼻側視神経乳頭低形成症例を報告する。

【症例】15歳 男性。羞明と見えづらさを主訴に近医を受診した。両眼乳頭鼻側の浮腫様所見と両耳側1/4盲様の視野欠損により視交叉病変が疑われたが正常MRIだった為、当院に紹介され受診した。視野は両眼ともMariotte盲点に連なる楔状欠損で、欠損に一致して乳頭鼻側に低形成の所見を認め、1年後も視野欠損の進行が認められなかった為、両眼の鼻側乳頭低形成と診断した。

【結論】視神経乳頭の部分低形成ではMariotte盲点に連なる楔状の視野欠損を呈し、欠損部に一致する乳頭部位に暈輪を認める。これらの特徴を知っておく事で診断が可能である。

緑内障の鑑別診断としての上方視神経部分低形成(SSOH):山本論文から

 

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