小児の眼科疾患

[No.714] 子供の近視~どう治療すべきか~大野京子(東京医歯大)講演記録

清澤のコメント:このブログでも何回も取り上げた小児の近視抑制のテーマですが、ビジョンケアセミナー2021のセッション1 特別講演は子供の近視~どう治療すべきか~大野京子(東京医歯大)で、大野京子先生は、すでに臨床利用できるものと、まだ臨床利用できないものを含めた各種の治療法を示されています。

(低濃度アトロピン療法と、オルソケラトロジー療法は自由が丘清澤眼科でも自由診療としてすでに用意出来ています。)

そのハイライト記録集が届きましたのでその主要なポイントを採録してみます。

◎近視が世界的に増加傾向:2050年までに人口の半分が近視、10%が強度近視になる。病的近視は眼球後局部に突出や変形。弱い近視でも網膜剥離や緑内障が増える。

◎近視の要因:環境要因と遺伝因子がある。

・屋外活動は近視抑制に効果がある:校舎の影や木陰(7000lux)でよい。毎日80-120分。1)ドーパミン仮説、2)周辺網膜デフォーカス減少、3)焦点深度増大

・近業作業で近視化する作用機序:調節ラグ理論(像が網膜後方にできる)と軸外収差理論がある。

・コロナが近視増加の促進要因に:コロナによる自粛が近業増加を起こした。用具Clouclipによる指導が有効。

◎有効性のある近視進行予防治療

・低濃度アトロピン点眼:0.01-0.05%で眼軸長で39%の抑制効果。

・オルソケラトロジー:軸外光線が網膜後方に収束し、遠視性デフォーカスが改善する。オルソKとアトロピン併用で近視進行を80%抑制する。   

・多焦点SCL(ソフトコンタクトレンズ):DIMS 眼鏡同様のDISCコンタクトレンズや焦点深度拡張タイプのEDOFコンタクトレンズがある。

・DIMSレンズ:中心9㎜の外に、小さな直径1mmの+3.5Dレンズ400個を蜂巣状に組み込む。52%の近視進行抑制、62%の眼軸長伸展抑制。

・Stellestレンズ:中心の遠方矯正ゾーンを囲む11個のリング上に1021個の高非球面レンズを組み込む。屈折度で63%、眼軸で61%近視を抑制する。

・Red light therapy(赤色光療法):哺乳類ツバイで赤色光暴露で遠視化する。眼軸長伸長69.4%、近視進行量が76.6%抑制された。

◎まとめ:小児の近視進行には環境因子の影響も大きいため環境因子を定量的に評価し改善することが重要。小児の近視進行抑制のスタンダード治療は、低濃度アトロピン、オルソK、多焦点SCLであるが、DIMSレンズなどの特殊眼鏡や赤色光照射法についても大いに期待される。(多焦点SCLとDIMSレンズは国内にはまだない。)

 

 

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