清澤のコメント:「好事魔多し」と言いますが、小林製薬の紅麴による腎障害が大きな話題になっています。その割に、何が起きているかの解説が表に出てこない気がしましたので、その辺を考えてみました。(最後に追記あり。)
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麴と言えば酒造りにも使われる酵母。ちょっと聞くと健康には良いもののように聞こえますが、腎機能障害の患者が出たそうです。いったい何が起きたのでしょうか?まだ大きなエビデンスは報じられていませんが、:最近の記事を要約してみます。(小林製薬、紅麹サプリで健康被害 一体なぜ? 東大教授「違ったカビが入り有毒物質を作った可能性」【Nスタ解説】(TBS NEWS DIG Powered by JNN) – Yahoo!ニュース)
- 健康被害報告 小林製薬のサプリメント「紅麹コレステヘルプ」の使用により、腎疾患などの健康被害が報告されています。
- 緊急事態 使用者26人が入院し、2人が一時的に透析が必要な状況に至りました。(その後2名が死亡、100人が入院とも報じられ、株価は暴落。)製造元は使用中止を呼びかけています(が、一部では会社の対応の遅れも指摘されています。)
- 紅麹の用途 紅麹は食品の発酵や着色に使われ、特に「モナコリンK」という成分がコレステロールを抑える働きがあることがわかり、健康食品にも使用されています。
- 紅麹のリスク 紅麹をサプリメントとして使用することは難しく、違ったカビが入り有毒物質を作った可能性が指摘されています。そこで疑われたのがカビ毒「シトリニン」です。 一部の紅麹が生み出すカビ毒で、腎疾患の原因になります。ヨーロッパではサプリ中の基準値を設定していて警戒されているものですが、今回、シトリニンは検出されていないとのこと。
注:ではシトリニンとは?:
• 紅麹といえばカビ毒(マイコトキシン、真菌毒)の一種であるシトリニンによる健康障害が考えられるが、同社はシトリニンは検出されていないとしている。
- カビ毒には数百種類があり、シトリニンはコメや穀類、ブドウなどを汚染するカビ毒で、体重1キログラムあたり0.2マイクログラム(成人)で腎臓や胎児などへの毒性があるとされる。紅麹はシトリニンを作り出さない紅麹菌だったという事です。
- 一方、紅麹菌は日本を含むアジア諸国で食品の着色料や肉の保存、発酵食品などに活用され、最近ではコレステロール値を下げる機能があることでサプリメントなどにも使われるようになっています。然し、発酵すると二次的にカビ毒のシトリニンを作り出してしまい、過熱しても毒素はなくならないため、その制御が長く問題になってきました。
- 2020年10月、小林製薬と奈良先端科学技術大学院大学の研究グループは、世界で初めて紅麹菌の(Monascus pilosus)の全ゲノムを解析したとし、その結果、この種類の紅麹菌がゲノムレベルの解析により、腎機能障害をもたらすシトリニンを作り出せないことを証明したと科学雑誌上に発表していました。(石田雅彦氏記事による:https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/88067d6a5999c977433bd2d52d40ee416d54786f)
- ーーーー追加記事ーーー
- 研究者が人体に影響与えた可能性指摘
配信
読売テレビ
小林製薬の「紅麹(こうじ)」をめぐり健康被害の問題で、紅麹の共同研究者が読売テレビの取材に応じ、別の菌がタンク内に誤って混入したために、人体に影響を与えた可能性があるとの見方を示しました。 小林製薬は、「紅麹コレステヘルプ」を摂取していた人で新たに2人が腎臓の病気を発症し、死亡していたと明らかにし、亡くなった人の合計は4人となりました。小林製薬と共同で紅麹のゲノム解析を行っていた、奈良先端科学技術大学院大学の金谷重彦教授が読売テレビの取材に応じ、「紅麹自体には毒性のある『シトリニン』を作る遺伝子が存在しない」と強調した上で、次のように述べました。 奈良先端科学技術大学院大学 金谷重彦 教授 「誰かがポチャッと毒を盛ろうと思えば、盛れないことはないと思うけど、ありえないと思う」 そのうえで、タンク内に別の菌が誤って混入し、培養されやすい環境であったために、人体に影響を与えた可能性があるとの見方を示しました。 奈良先端科学技術大学院大学 金谷重彦 教授 「最初に紅麹菌をタンクで培養する時に別の菌が入ってしまった(可能性がある)。最近になってから失敗(未知の成分を検出)しているというのは、このあたりで違うカビが培養タンクに入ってきたと疑わないといけない」
◎ カビ毒には目への影響は有るのだろうか?
◎再度追記: 2024.4.2(火曜朝9:43 東京都医師会 発出の各医院へのファックスから)
厚生労働省保険局医療課「疑義解釈資料(その65)」から抜粋:小林製薬株式会社が製造した紅麹を含む製品の喫食歴がある患者に関する診療(診察、検査等を含む)をした場合、無症状の患者に対する診療であっても、医師が当該患者の喫食歴等から診察が必要だと判断した場合は、保険診療が可能である。
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小林製薬からの状況等についての聴取が厚生労働省健康・生活衛生局食品監視安全課長名で行われ、
・紅麹を含む特定のいわゆる「健康食品」を摂取した者で健康被害が多数報告されていることに加え、2名の死亡例が報告されたこと。
・健康被害との関連性が明らかとはなっていないこと。
から、当該事業者が取り扱う下記の食品については、食品衛生法(昭和22年法律第233号)第6条第2項に該当するものとして扱い、同法第59条に基づく廃棄命令等の措置を講じて戴くようお願いします。との指示が大阪市健康局長あての文書(健生食監発0326号 令和6年3月26日)で発令されています。
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⇒記事にリンク:「プベルル酸」とは……珍しい化学構造・危険な毒性のある物質 青カビが産生するカビ毒と液体クロマトグラフィーの痕跡が似ているという話があるようです。
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