清澤のコメント:先日「わかりやすい臨床講座」全体の紹介をしました。本日は安藤先生の「眼底検査、何処を見る?どのように視る?」の要点を採録してみます。来週の日刊ゲンダイの60歳からの健康という連続記事は糖尿病性網膜症をテーマに考えています。この安藤先生の記事には及びもつきませんが少しご期待ください。
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論文記事の要約: 糖尿病網膜症による視力低下を防ぐため、臨床の最前線で診療を行っている診療所での眼底検査が重要である。最前線では、網膜症の初期病変を診断し内科と連携すること、重症化する前後の網膜症を診断し適切な眼科的治療につなげるという重要な任務を担う。具体的には、検眼鏡および眼底写真での眼底検査で、初期網膜症の重要な所見である毛細血管瘤を見逃さない。重症な網膜症の増殖網膜症と新生血管を診断することが求められている。
はじめに:
Ⅰ、眼底検査の意義:内科医は糖尿病による眼合併症の有無を知りたい。一方多くの眼科医は、糖尿病性黄斑浮腫(DME)か増殖網膜症前後で、網膜レーザーか硝子体手術の適応の有無を知りたい。1)初期糖尿病網膜症を的確に把握する。2)進行した網膜症の眼科治療時期を見逃がさない。
Ⅱ、国際重症度分類:この分類が一般的で、実用的かつ国際標準である。無網膜症(NDR)、非増殖網膜症(NPDR)、増殖網膜症(PDR)に大別し、さらにNPDRを軽症、中等度、重症に分ける。
1、初期病変のMA(小動脈瘤)を見逃さない 小さい赤色点MAを見逃さないことが重要。
2、PDRの前段階severe NPDRをみのがさない。(眼底各4象限に20個維持うの網膜内出血、2象限以上での静脈数珠状拡張、1象限以上で網膜内小血管異常(intraretinal microvascular abnormalities: IRMA)のいずれかがその定義。
3、PDRを見逃さない:硝子体出血や著名な新生血管(NV)が既にある場合はPDR診断は容易。それらがないと、検眼鏡のみでの特定は難しい。
Ⅳ、応用編
1,軟性白斑:CWS(コットンウールスポット)は数週間で消える。CWSは高血圧や循環障害、腎性網膜症でも出る。
2,網膜出血の好発部位:黄斑部のみ観察で52%、アーケイド内を含めると71%、乳頭鼻側を加えると86%で観察できた。
Ⅴ、外来でDR(糖尿病網膜症)の所見を見逃さない眼底観察をするために
倒像鏡検査でおよそのDRレベルを判断し、さらに細隙灯と前置レンズでより詳細に観察する。これは、患者の眩しさで困難だ、白内障や小瞳孔も妨げとなる。多くの診療所では眼底カメラを併用するところが多いが、画像ファイリングシステムの画質を落とすと詳細は見えなくなる。
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