清澤のコメント:藤原一江先生がこの問題に対する異議を「今日の薬は」という彼女のコラムで発表しておられ、その連絡をいただいておりました。デリケートな話題なので私のブログでは採録を保留しておりました。本日の読売新聞にこの件の解説が出ました。公開部分だけを採録いたします。中絶が妊産婦の権利であるという判決の取り消しは、米国でも問題になっているようですね。読売新聞は、非正規の堕胎を排除しようとした医師グループが堕胎禁止の先駆けであったと説明しています。
ーーーー読売新聞記事採録ーーーーー
中絶、アップルもグーグルもテスラも支援するのに…賛否が米国世論を二分 2022/09/14 06:30
米連邦最高裁が6月24日、人工妊娠中絶を憲法上の権利と認めた1973年の判決を半世紀ぶりに覆した。中絶規制は各州の立法に委ねられると判断し、米社会を揺るがしている。中絶への賛否が米国の世論を二分し、政治に影響を及ぼすのはなぜか。
中絶禁止の主張 最初は医師から
米社会における中絶の歴史に詳しいオクラホマ大のジェニファー・ホランド准教授(40)によると、1776年の独立宣言前から1840年頃まで、中絶は英国の「慣習法」に基づき母親が胎児の胎動を感じるまでは合法とされてきた。
中絶反対の流れを作ったのは、現在の反対派がよりどころとする宗教的な価値観や生命観ではない。原動力となったのは、「中絶は不健康で不道徳」と主張した一部の医師だった。中絶が商業化し、非正規の助産師らが横行する中、規制をかけることで競争相手を排除し、自ら職業的地位を高める思惑があった。
医師らの働きかけが功を奏し、1900年代初頭までに全州で中絶が原則禁止された。コネティカット州では1879年、避妊を目的とした薬や器具の使用を禁じる法律が制定された。
人種問題の影響も指摘される。1861年に勃発した南北戦争やその後の奴隷解放宣言など、当時の米社会に変化が起きていた。ホランド准教授は「(白人社会には)移民や黒人女性が多産だった一方、中流階級の白人女性が中絶で出産を制限していたことから、白人人口が減ることへの恐怖心があった」と話す。
キリスト教保守派・共和党 反対派勢い
1960年代に入り、中絶容認の機運が高まる。世界中で胎児の先天性障害を引き起こしたサリドマイドの薬害やフェミニズム運動の広がりが規制緩和につながった。67年にコロラドとカリフォルニア両州で中絶容認の動きが出ると他州にも広がり、連邦最高裁は1973年、「ロー対ウェイド判決」を言い渡し、中絶は全米で合法化された。
米国で中絶賛成派は「プロ・チョイス」、反対派は「プロ・ライフ」と呼ばれる。賛成派は女性の人権を重視し、産むかどうかを女性の「選択」に委ねるべきだと主張する。胎児の「生命」を重視する反対派は、「命は神からの 賜物たまもの 」などと説くキリスト教信仰に基づき、中絶を「殺人」とみなす。ーー以下は有料記事ですーー
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