その他

[No.181] ポストコロナ時代の心療眼科(気賀沢一輝先生)を読みました。

清澤のコメント:ポストコロナ時代の診療眼科(気賀沢一輝・杏林大学)の掲載されたビジョンケアセミナー2020のハイライト記録集(昨年分)が届けられました。概要をまとめてみます。私は南砂町清澤眼科では、眼科医として患者さんの話を聞いた後、痛みに対しては神経内科の浅見先生にプレガバリンやヂュロキセチンなどの処方を考えていただき(脚注)、また臨床心理学の専門家小野木陽子先生のカウンセリングをお願いしてきました。新たに開業した自由が丘清澤眼科では、まだそこまでの陣容は整いませんが、今後それぞれの対応を考えてゆきたいと考えています。

--要点---

新型コロナウイルスと社会:自粛による行動制限が孤独感を増幅し、健康・経済の不安が増強して既存の価値観が崩壊し、虚しさが蔓延している。100年に一度の危機が見つめ直しの時間を与えて人生のポジティブな転機となった人もいる。心療眼科研究会では心因性眼疾患をPsycho-social medel(多因子疾患モデル)として研究している。

心因性眼疾患の発症メカニズム:心理的なストレスにより、視床下部・下垂体を介して内分泌、免疫が影響を受け身体症状が発言するのが心身症。大脳皮質を介して感覚・運動能力が影響を受け身体症状を発現するものに神経症性障害(心因性視覚障害、不定愁訴が該当)と精神疾患眼合併症(身体症状がメインの仮面うつ病)がある。

心因性眼疾患の内訳:心因性視覚障害30%、身体症状症28%、術後不適応症候群25%(白内障術後の訴えなど)。

症例1:病気不安症(illness anxiety disorder)。抗うつ薬、抗不安薬無効.。森田療法を推奨。コロナにより連日の眼科受診を拒否され受診しなくて済むようになった。

症例2:身体症状症。プレガバリン(神経障害性疼痛疑い)無効。器質的変化なし。客観的所見に見合わないドライアイマン性疼痛は神経障害性疼痛に似ている。疼痛が主体の身体症状症に該当した。プレガバリンとヂュロキセチン(20㎎で開始、4週で40㎎を維持量に)がある。この症例はテレワークで緩解。

症例3:転換性障害。開瞼不能で心因性眼瞼痙攣と判断。疾病利得には第一次疾病利得(内的危機を回避する)と、第二次疾病利得(義務の免除支援獲得などを得る。)がある。転換性障害はbio-psycho-socialが重なり合ったところで発生しているから、様々なアプローチを要す。

まとめ:現在のように社会が劇的に変化しているときには心因性眼疾患の病態も変化している。コロナ禍での病気の質の変化をじっくり観察することがポストコロナ時代の臨床に役立つ。

脚注

https://www.kiyosawa.or.jp/uncategorized/38637.html/

慢性的な目の痛み(眼痛)及び頭痛に使える内服薬剤は?(浅見医師が選んだもの)

メルマガ登録
 

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。