清澤のコメント:以前作った、ネット上に公開されている典型的な眼振例の動画集です。今でも週に50回程度と比較的読者数が多く、今後元のページが消えてしまう可能性も考えて、此処に再録して置きます。(動画が英語で見易くなくてすみません。)
次女の目の動きが気になり調べておりましたらこちらのホームページにたどり着きました。お忙しいと思いますが質問させてください。① 次女は生後1か月半ほどです。
普段は特に不思議な点はないのですが
生後間もなくから、何かを見たいと思って振り返りながら目の端に黒目が行くと眼振が起こるようです。
眼振が起こっている方向に体ごと回してみると焦点があうのか目の動きはその場所を見る感じで止まります。
行き過ぎて回すと目もその位置を見続けようと右から左(逆も)に移動していきまた反対方向の眼振といった感じです。①お答え:視野の右端や左端を見るとこのように正常人でも時には眼振が現れます。極端な側方では側方視を維持できないので、中央に向かってゆっくりと少し戻ってしまい、見たい物に向けて急速相のある眼振が出ることがあります。
先天性注視麻痺にみられるヘッドスラスト(head thrust)でもなさそうですし、エンドポイント眼振(end point nysTAGSmus)という正常な反応かと。
②あと寝起き時によくなるのですが、左目の瞼がかたい?というのか片目でいることが多いです。
完全に目覚めると両目は開いております。
瞼の開いた感じは左右同じ程度です。
②のお答え:このように軽い眼瞼下垂を伴うマーカス・ガン顎瞬目現象を見ているのでしょか?それとも単に軽い先天性眼瞼下垂があって、それが覚醒時には消失していると考えればよいのでしょうか?
③次女は手と足に多指症がありますので、その他の合併症があるかもしれません。
総合病院で生まれたため、出生時、入院時、退院時、1か月検診などにいろいろと観てはいただいているのですが今のところ顕著な異常はないそうです。
③のお答え:多指症との関連はなさそう。
「多指症:手は妊娠のおよそ4週目頃からでき始めます。最初は小さな突起状のものが次第に先端が太くなり、少しずつ平たくなってきます。その後、指となる部分に細胞が集まり始め、指の水かきの部分が徐々に薄くなって、7週目には5本の指に分離します。この指の分離の過程で何らかの問題が生じて、多指症になると考えられています。しかしながら、その原因は遺伝的な要因を含めて多くは不明な点が多く、未だ解明されていません。多指症の発生する頻度は、手では出生1000人に対して1~2人、足では出生2000人に対して1~2人程とされています。また、多指の見られる部位は、手では親指に多く、足では小指に多く見られ、それぞれ全体のおよそ90%を占めています。また、多指症は原因の発生時期や分離の程度によってその形態はさまざまです。」
④何か気を付ける点や考えられる事がありましたらお教えください。
よろしくお願いいたします。
ネットに出ていた眼振のすべてを見せるアニメーションです。これを一通り見ると、だいぶん分かったような気がします。参考になさってください。
追記:先天眼振とは 当院の70人ほどの先天眼振の患者さんのカルテを調べました。
Q:先天眼振について
ダロフ博士が記載した先天眼振の特徴は11項目ありますが、電気眼振図の分析が必要な後半の3項目を外して、その最初の8項目について先天眼振の各特徴を示す患者さんお割合を数えてみました。その各項目の比率は
1.両眼性で共同性 75.36%
2.両眼とも同じ振幅 72.46%
3.振動視はない 62.32%
4.睡眠中は消失 24.64%
5.頭の振動を伴う 34.78%
6.軸輳により減弱 55.07%
7.固視努力により増強 55.20%
8.潜伏眼振に重畳 43.48%
でした。基本的に先天眼振にはめまい(≒動揺視)はありません。
確かに運転免許は両眼で見て0.7以上が必要ですから、眼鏡その他の条件を十分に整えて視力を測定してもらってください。先天眼振では必ずしも視力が1.0は出せません。当医院の患者さんで(乳児を除いた)視力が測定できる患者さんの左右の矯正視力の平均を調べてみました。視力は1.0以上が22%、0.7-1.0未満が36%、0.5-0.7未満が23%、0.3-0.5未満が12%、0.1-0.3未満が5%、それ以下は2%でした。
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