AZOOR(急性帯状オカルト網膜外層異常症、acute zonal occult outer retinopathy)は、視力低下を引き起こすまれな網膜疾患です。1993年にマイアミ大学のDr. Gassによって初めて報告されました。この疾患は特に若年から中年の健康な成人女性に多く見られますが、男性にも発症することがあります。
症状
AZOORの主な症状は、突然の視野の一部が欠損する「視野異常」です。患者は自覚的に視野の一部に暗点が生じ、視界の中に盲点や視野欠損を感じることが多いです。初期症状は片眼にのみ現れることが多いですが、後に両眼に進行することもあります。また、視力が低下することがあり、光がまぶしく感じる羞明や、閃光が見える光視症が伴うこともあります。これらの症状は数日から数週間にかけて進行します。
検査と診断
診断には視野検査や眼底検査、さらには特殊な画像診断が重要です。眼底検査では初期段階ではほとんど異常が見られないことが多く、病変が隠れていることから「潜伏性網膜症」とも呼ばれます。そのため、視野異常を確認するために視野計を使用した視野検査や、網膜の状態を詳細に観察するための光干渉断層計(OCT)や蛍光眼底造影検査(FA)といった画像検査が有用です。特にOCTでは、網膜外層(視細胞層や網膜色素上皮)の異常が検出されることが多く、FAでは後期に網膜色素上皮の変性が確認されることがあります。
診断後の経過
AZOORの経過は患者によって異なります。視野異常が進行することもありますが、自然に改善するケースもあります。しかし、多くの場合、完全な視力や視野の回復は見込めません。また、他の視野異常を引き起こす疾患(多発性硬化症やサルコイドーシスなど)の可能性を排除するための精密検査が必要となることもあります。
治療法
AZOORに対する特異的な治療法は確立されていません。症状が進行している場合や重症化している場合には、ステロイドや免疫抑制剤などが投与されることがありますが、その効果には個人差があります。また、炎症が原因と考えられる場合には抗炎症薬が使用されることもあります。視野障害が日常生活に大きな支障をきたす場合には、リハビリテーションや視覚補助具の導入が勧められることがあります。
まとめ
AZOOR(アズール)は突然の視野異常や視力低下を引き起こす疾患で、診断には視野検査やOCT、FAなどの詳細な検査が必要です。視野障害は完全には回復しないことが多く、治療は対症療法が中心となりますが、患者の症状に応じたサポートが重要です。
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