清澤のコメント:日刊ゲンダイ11月5日号(4日発売)の記事です。明治時代に白米を給食された海軍の水平が脚気で夜盲になるという話がありましたが、拒食症での視覚障害があるとすれば類似の機序で起きるのかもしれません。下記の論文は網膜黄斑部の菲薄化を指摘しましたが、視力低下は無しだったとしています。
子供の「新型コロナ拒食」が将来の失明をもたらす可能性
楽しいはずの給食の時間も…(C)PIXTA
アニメ「忍たま乱太郎」2代目・山村喜三太役などで知られる、声優の杉本沙織さん(56歳)が亡くなった。食思不振症に伴う、うっ血性心不全だという。 食思不振症とは、神経性の摂食障害のひとつで不食や摂食制限をするタイプと、過食しては嘔吐(おうと)するタイプがあり、その結果で著しい痩せや、身体・精神症状を生じる。 若い女性に多い病気で、1983年に急死した米国の人気デュオ、カーペンターズのカレンも同じ病気で亡くなっている。 近年は幅広い年齢層に広がり、特にコロナ禍でのストレスや不安感から、食事を取れずに極端に痩せる摂食障害の子供が増えているという。 国立成育医療研究センターの実態調査では2020年度の20代未満の患者は1.6倍、女性の入院患者は1.4倍増だという。 この病気は若年時に慢性化すると低身長や無月経、骨粗しょう症などになるリスクが高まるだけでなく、目の病気のリスクを高める可能性がある。 「自由が丘清澤眼科」(東京・目黒区)の清澤源弘院長が言う。 「かつて英国医学会誌に掲載された論文に、神経性食欲不振症の13人と同年齢の20人の健康な女性での両目の黄斑の厚さとその電気的活動を分析した研究がありました。黄斑とは網膜の中央にあり、細かい詳細なものを見る中心視力と光の処理を担っている場所です。幸い視機能低下は検出されませんでしたが、過食しては嘔吐するタイプの拒食症の女性は、黄斑部とそれに連なる網膜神経線維層が健康な女性より薄いと報告されたのです。おそらく神経性食思不振症による栄養障害の結果でしょう」 しかも、脳の中で視覚画像を処理するのに必要な神経伝達物質ドーパミンが起こす電気的活動も弱かったという。 「対象となった女性の平均年齢は28歳。食欲不振の期間は平均10年間ですから、食べられない人にすぐ問題が出るわけではないのでしょう。ただ、黄斑が劣化し神経活性が低下すれば、進行性の失明を招くかもしれません」
コメント