清澤のコメント:本日公表の日刊ゲンダイ、私の監修記事で「「涙」の健康が危ない…こんな症状が出たらドライアイを疑え!」の採録です。ご笑覧ください。
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「涙」の健康が危ない…こんな症状が出たらドライアイを疑え!
暑い日が続いている。最高気温が25度を超えた日を夏日、30度を超えた日を真夏日、35度を超えた日を猛暑日と言うが、東京では8月に入って15日まで夏日が4日間、真夏日が6日間、猛暑日が5日間となっている。当然、外を出歩く人も少なく室内で冷房をガンガン効かせ、テレビやパソコン、スマホを凝視する人が多い。たまに屋外に出てもハンディ扇風機が手放せない、という人もいる。そこで気になるのがドライアイだ。「自由が丘清澤眼科」(目黒区)の清澤源弘院長に聞いた。
「ドライアイとは、涙の量が不足したり、涙の質のバランスが崩れることで涙が均等に行きわたらなくなることで、目の表面に傷や障害を生じる病気です。目が乾いた気がする、ショボショボ、ゴロゴロして痛い、疲れやすいなどの症状が起きることが知られています。日本の患者数は約2000万人から3000万人といわれる国民病です」
症状はほかにも涙の量が減ることで光の乱反射が起こり、光をまぶしく感じる、視界がぼやける、ものが見えにくい、かすむ、視力が落ちるなどがみられるという。こういう症状があれば、ドライアイを疑った方がいい。
「ドライアイはテレビやスマホやパソコンの長時間使用でまばたきの回数が減り、目の乾きを感じる状態。コンタクトレンズの使用なども主要な原因です。女性の場合は加齢による女性ホルモンの低下が全身の潤いを失わせドライアイになりやすいともいわれています。これらに加えて、冷房や扇風機が原因になることもあるのです」
エアコンや扇風機を長時間使用すると肌の乾燥だけでなく目の表面も乾く。目の表面に潤いを与えて雑菌などを洗い流す涙は低湿度や風に弱く、これらにより蒸発しやすくなるからだ。
「涙を守るには室内の湿度を下げすぎないことが大切です。可能なら常時50%程度は維持するとよいでしょう。エアコンや扇風機の風に直接当たらないことも重要です。最近は屋外でハンディー扇風機を顔に当てて涼を取る人がいますが、注意が必要です。意識してまばたきをするとよいでしょう」
犬や猫などペットを飼っている人はペットのドライアイにも気をつけたい。目をこする、目が充血しているなどの症状があれば獣医に相談するといいだろう。キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、シーズー、パグなどドライアイを生じやすい犬種もある。
■新型コロナもリスク増に影響
また、今年は猛暑に加え、新型コロナの影響で在宅勤務やオンライン授業が増えたことやマスクの常時使用が、ドライアイのリスクに拍車をかけているという。
「デジタル画面を凝視するとまばたきが少なくなり、涙が蒸発しやすくなります。長時間テレビやパソコン、スマホの画面を見ないようにしましょう。1時間に5~10分程度は遠くを見るようにしましょう。また、メガネをしている人はわかるでしょうが、マスクをしているとメガネが曇ります。呼吸で吐き出された息がマスクの隙間から漏れて、メガネを曇らせるのです。漏れた息は目に当たり、眼球の表面を乾燥させる可能性があります。マスクをしたまま長時間パソコンやスマホの作業をすれば、二重にドライアイを招くことになりかねません。作業の合間にこまめに休憩するよう心がけることもドライアイを予防するために重要なことです」
また、ドライアイを予防するには運動も心がけたい。カナダのウォータールー大学の研究チームは、有酸素運動に参加した後の涙液分泌と涙液層の安定性の大幅な増加が、ドライアイのかゆみを和らげる可能性があることを発見したとの研究論文を発表している。
「人間の目が乾かないのは、まばたきをするたびに目の表面が涙で覆われるからです。健康な涙は油、水、ムチンの3層からできていて、目の表面についたほこりやよごれ、細菌やウイルスなどを吸着して洗い流します。この3層のバランスが崩れると目の表面に乾燥した部分ができて、角膜表面が傷つき、そこにかゆみや痛みが生じます。そこで研究では運動がドライアイ予防になるかを調べたというのです」
研究では、参加した52人を少なくとも週5日運動をする群と、週1回の非運動群に分けて、運動前後に検査して涙液分泌と涙液層破壊時間を評価した。その結果、運動群の方が良好だったという。
「研究の規模が小さく、断言はできませんが、運動は体を丈夫にするだけでなく、目の健康にも重要だということです。新型コロナ禍ではありますが、マスクなしで公園などで散歩するのもいいかもしれません」
あなたはドライアイ対策をしていますか?
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追記:特集記事なので、普段の連載よりは文字数が多いです。涙液分泌現象型と涙液層不安定型という言葉はタブロイド紙読者には面倒と思い省略しておきました。ドライアイを起こしやすい犬には、「犬のドライアイでは、ウエストハイランド・ホワイトテリア(ウェスティ)、アメリカン・コッカースパニエル、キャバリア・キングチャールズ・スパニエル、シーズー、パグなどが好発犬種(疾患が発生しやすい犬種)として知られています。ウェスティ以外は、顔の大きさに比べて目が大きい犬種によく見られる。」との記載がありました。
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