ドライアイ

[No.1439] あなたのドライアイ治療法は大丈夫? 日本眼科学会がガイドライン発表;日刊ゲンダイ自著記事

あなたのドライアイ治療法は大丈夫? 日本眼科学会がガイドライン発表

 

写真はイメージ

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 目がかゆい、充血している、ショボショボ、ごろごろして痛い、涙が止まらない–。スギ花粉が大量に飛び始めるこの時季に多い目の症状だが、だからといって花粉症と決めつけるのはまだ早い。それはドライアイかもしれないし、花粉症とドライアイを併発したせいかもしれない。仮にドライアイだとした場合でも問題点は、ドライアイの治療法が眼科医によってマチマチであること。そんななか、「マイボーム腺機能不全」のガイドラインとなるものが日本眼科学会から発表されたという。マイボーム腺機能不全は涙液分泌低下症と並ぶ重要なドライアイの直接的な原因。自由が丘清澤眼科の清澤源弘院長に聞いた。

「ドライアイは日本の患者数が2000万~3000万人と推定されるほど多い、目の国民病です。角膜を保護している涙の量が不足していたり、その質が変わることで、目表面全体に涙がいきわたらなくなり、目が乾いてゴミや細菌やウイルスがたやすく目の表面を傷つけてしまったり、また視力低下も起こします。ホルモンの影響やコンタクトレンズの装着率が女性の方が高いこともあってか、ドライアイは比較的、男性より女性の方が多いといわれています」

 ドライアイはコンタクトをしている人、パソコンやスマホなどを長く凝視している人、運転する人、エアコンの部屋に長時間いる人、高齢者らがなりやすいことが知られている。一方、この季節の花粉症はスギやヒノキなどの花粉に対するアレルギーの体質を持っている人に起きることがわかっている。花粉症による目の症状はアレルギー性結膜炎と呼ばれるもので、花粉などに反応して結膜に炎症が起きるものだからだ。

「ですから、毎年決まっていまの時季にのみ、目がかゆい、充血する人は花粉症の疑いが強いのですが、そのなかには季節にかかわらず、前述の症状に加えて、目がショボショボごろごろして痛いなどの症状がある人がいる。花粉症疑いの人でも眼科に行く場合はドライアイも診てもらった方がいいかもしれません」

■「強く推奨」は1つのみ

 ではドライアイが疑われる人はどのような治療をしたらいいのか? 鍵を握るのはまぶたの内側から涙の表面に油分のある涙を分泌して油膜を生成し、涙の蒸発を抑えている、マイボーム腺と呼ばれる小器官だ。

「ドライアイの原因は目表面の水層が不足して乾燥する場合と、マイボーム腺機能低下により油の分泌量が減って、目表面の涙液層が不安定化する場合とに分かれます。原因で多いのは後者の方ですが、これまでその治療法は眼科医によってマチマチでした。そこで日本眼科学会誌にマイボーム腺機能を維持するためのガイドラインというものが今回発表されたのです」

 ガイドラインとは、現在世界で公表されている学術論文を読み尽くして、そのエビデンス(科学的根拠)に基づいて、その治療法を強く推奨するものから、行わないことを推奨するものまでに分類して、すべての眼科医に指示するもの。

「今回のガイドラインで、もっともエビデンスがあるとして強く推奨されたのは、5分ほど温めたタオルでまぶたを温める『温あん法』だけでした。実施することを弱く推奨するという項目には、市販の眼瞼洗浄剤を使ってマイボーム腺の開口部などをきれいに洗う眼瞼清拭、抗菌薬点眼、ステロイド局所投与、オメガ3脂肪酸製剤の内服、抗菌薬内服、強いパルス光治療、加温パルス圧迫。明確な推奨ができないものには、副腎皮質ステロイド系眼軟膏を除く眼軟膏や油性点眼で、その理由はいずれも報告が少ないためとしています。弱いながら実施しないことを推奨する項目には、ジクアホソルナトリウム点眼、シクロスポリンA点眼、細い針での穿刺が含まれました。涙液状態改善の可能性はあっても、これらの治療法には、エビデンスが弱い、あるいは直接的にマイボーム腺機能不全がその効能効果には含まれていないというのもこの結論の原因だそうです」

 気になる人は、かかりつけの眼科専門医に聞くことだ。

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マイボーム腺機能不全ガイドラインが日眼会誌に掲載されました

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