流行性角結膜炎(EKC, epidemic keratoconjunctivitis)とは
本日、片方の目を赤くした40歳の男性が来院されました。見るからにこのEKCです。
流行性角結膜炎は、アデノウイルスと呼ばれるウイルスに感染したことで、まぶたの内側にある結膜が炎症を起こす病気です。感染力が非常に強く、病原体のついた手で眼をこするだけで簡単にうつってしまいます(注1)。7-10日間の潜伏期間を経て、眼の赤み、かゆみや痛み、まぶしさ、目ヤニや涙などの症状が出ます。ひどいと黒目が濁って視力が落ちたり(注2)、眼から出血したり、まぶたが目にくっついてしまったりします。アデノウイルスそのものに効果的な薬はありませんので、他の細菌の感染を防ぐための抗菌薬と、過剰な炎症で自分の眼を傷つけないためにステロイドの点眼を使用します。治るまでに少なくとも2週間を要し(注3)、長い時には1か月以上かかることもあります。適切な治療が行われないと、後遺症として黒目の濁りが残って、視力が下がってしまうことがあります。早めの受診と適切な治療に加え、周りの人にうつさないようにすることが大切です。確定診断にはアデノチェックというPCR法での検査器具が有ります。(注4)
清澤の注意点
注1:家族にタオルや浴槽を介して移さない注意が大切、院内で他の患者さんに移さないことにも注意を払います。
注2:角膜の変化(上皮下混濁)で視力低下を自覚することがありますが、しばらく(数週間で)すると回復することが多いです。
注3:学生では感染性がなくなったとみなされるまでは登校が停止になります。
注4:アデノチェック:アデノチェックは、アデノウイルスに感染しているかどうかを検査するための迅速診断キットです。検査方法は、感染者の結膜の擦過液を使用して行われることが一般的で、10〜15分程度で結果が出ます。眼科では、綿棒で目の粘膜を軽くこすり、採取した細胞を元に検査します。アデノチェックは、金コロイド標識抗アデノウイルス抗体が反応し、抗原-抗体の結合物を作ることで検査を行います。アデノチェックには、咽頭拭い液・角結膜拭い液・鼻腔拭い液・鼻腔吸引液中のアデノウイルス抗原を検出する測定キットである「クイックナビ-アデノ2」もあります。
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