眼瞼のカポジ水痘様発疹症(Kaposi’s Varicelliform Eruption on the Eyelids)と眼瞼ヘルペスの異同を論じます。両者は似ている点もありますが、同じ疾患ではありません。以下にそれぞれの特徴をまとめます。
1)眼瞼のカポジ水痘様発疹症
- 原因: ヘルペスウイルス(主に単純ヘルペスウイルス1型)が関与しますが、これは特にアトピー性皮膚炎患者の皮膚に二次感染として生じることが多いです。
- 症状:
- 小さな水疱が集簇して形成され、炎症や痛みを伴います。
- アトピー性皮膚炎がベースにある場合、炎症が強くなりやすいです。
- 発熱やリンパ節の腫脹など全身症状を伴う場合があります。
- 診断:
- 水疱内容のPCR検査やウイルス培養によるヘルペスウイルスの確認。
- 治療:
- 抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル)を内服。
- 重症例では点滴治療が必要になることもあります。
2)眼瞼ヘルペス
- 原因: 主に単純ヘルペスウイルス1型や2型による感染。カポジ水痘様発疹症より広範囲の皮膚病変は生じにくいです。
- 症状:
- 眼瞼部に水疱や潰瘍が形成され、疼痛やかゆみを伴います。
- カポジ水痘様発疹症に比べると、全身症状は軽いか、ほとんどないことが多いです。
- 診断:
- 水疱内容のPCR検査やウイルス培養。
- 臨床症状のみで診断することも多いです。
- 治療:
- 抗ウイルス薬の局所または全身投与(症状の重さによる)。
- 軽症例では局所の抗ウイルス薬を使うことがあります。
3)主な違い
特徴 |
眼瞼のカポジ水痘様発疹症 |
眼瞼ヘルペス |
背景疾患 |
アトピー性皮膚炎などの基礎疾患が多い |
基礎疾患がない場合が多い |
症状の範囲 |
多発性水疱で広範囲に炎症が広がる |
限局的な病変が多い |
全身症状 |
発熱やリンパ節腫脹などが出やすい |
通常は軽微またはなし |
まとめ
カポジ水痘様発疹症と眼瞼ヘルペスはどちらもヘルペスウイルスが原因ですが、発生の背景や症状の重症度に違いがあります。特にアトピー性皮膚炎がある患者では、カポジ水痘様発疹症を疑う必要があります。治療法は抗ウイルス薬が中心であり、早期診断と適切な治療が重要です。
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