タリージェ(ミロガバリン)とリリカ(一般名:プレガバリン)はどう違う?
タリージェ(ミロガバリン)とリリカ(一般名:プレガバリン)は、いずれも「神経障害性疼痛」に使われる同系統の薬。ただし細かな違いがあります。患者さん向けに整理すると以下のようになります。
- 共通点
- どちらも「神経の過敏さ」を抑える薬で、しびれや灼けるような痛みを和らげます。
- 帯状疱疹後神経痛や糖尿病性神経障害などに広く使われています。
- 効果の違い
- 痛みの軽減効果:
臨床試験では、タリージェもリリカと同等の鎮痛効果を示すことが確認されています。 - 効果の出方:
両薬ともに少量から開始して調整しますが、タリージェの方が安定して効果が出る症例があると報告されています。
- 副作用の違い
- リリカ(プレガバリン)
- 眠気、ふらつき、体重増加が比較的多い
- 中止時に不安・不眠・けいれんが出ることがある
- タリージェ(ミロガバリン)
- 同じような副作用はありますが、眠気やふらつきがやや少ないと報告されています
- 高齢者でも使いやすい場合がある
- 実際の使い分け
- リリカで副作用が強く出た方にタリージェを変更するケースがあります。
- 新規に治療を始める患者さんでも、タリージェを第一選択とする医師が増えています。
- ただし、効果や副作用の出方は個人差が大きいため、実際には「どちらが合うか」を試しながら調整する必要があります。
まとめ
- 効果はリリカとほぼ同等。
- 副作用の頻度はタリージェの方が少ない傾向があり、特に眠気・ふらつきに悩む方には使いやすい。
- 最適な薬は人によって異なるため、主治医と相談しながら調整することが大切です。
鎮痛薬の比較表を「痛みの種類」に分けてまとめました。
痛みは大きく以下に分けられます:
- 侵害受容性疼痛(切り傷・関節炎・がんの痛みなど、組織損傷に伴う痛み)
- 神経障害性疼痛(帯状疱疹後神経痛・糖尿病性神経障害など、神経そのものの障害による痛み)
- 中枢感作/過敏性疼痛(線維筋痛症など、神経が過敏になり痛みを増幅する状態)
鎮痛薬比較表
薬剤(一般名) |
主な作用機序 |
侵害受容性疼痛 |
神経障害性疼痛 |
過敏性疼痛 |
主な副作用・注意点 |
アセトアミノフェン |
中枢で痛みシグナルを抑制 |
◎ 有効(頭痛、発熱、軽度の痛み) |
× 効果乏しい |
△ 一部の症例で補助的 |
肝機能障害に注意 |
NSAIDs(ロキソプロフェン、セレコキシブなど) |
炎症性プロスタグランジン抑制 |
◎ 炎症性疼痛に有効(関節炎、術後) |
× 限界あり |
△ 炎症を伴う場合に補助的 |
胃腸障害、腎障害 |
オピオイド(モルヒネ、オキシコドンなど) |
中枢のオピオイド受容体に作用 |
◎ 強い痛みに有効(がん疼痛、術後) |
△ 一部の神経障害性疼痛に有効 |
△ 効果は限定的 |
依存、便秘、眠気 |
プレガバリン(リリカ) |
Ca²⁺チャネルα2δサブユニット結合 → 神経過敏抑制 |
× |
◎ 神経障害性疼痛で第一選択 |
△ 線維筋痛症に適応あり |
眠気、ふらつき、体重増加 |
ミロガバリン(タリージェ) |
プレガバリン類似、より選択的に結合 |
× |
◎ 神経障害性疼痛に有効(リリカと同等以上) |
△ 線維筋痛症にも応用 |
眠気・ふらつきが比較的少ない |
デュロキセチン(サインバルタ) |
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害 |
△ 鬱合併例の疼痛に |
◎ 糖尿病性神経障害に保険適応 |
◎ 線維筋痛症に有効 |
吐き気、不眠、血圧上昇 |
三環系抗うつ薬(アミトリプチリン等) |
セロトニン・ノルアドレナリン増強 |
△ 一部の慢性痛 |
◎ 神経障害性疼痛に古くから使用 |
◎ 線維筋痛症にも使用 |
口渇、便秘、眠気 |
トラマドール |
μオピオイド受容体作用+セロトニン・NA再取り込み阻害 |
◎ 中等度〜強い痛みに |
△ 一部で有効 |
△ 線維筋痛症にも使う場合あり |
依存、便秘、吐き気 |
ポイントまとめ
- 侵害受容性疼痛 → NSAIDs・アセトアミノフェン・オピオイドが中心
- 神経障害性疼痛 → プレガバリン、ミロガバリン、デュロキセチン、三環系抗うつ薬
- 過敏性疼痛(線維筋痛症など) → デュロキセチン、プレガバリン/ミロガバリン、三環系抗うつ薬が中心
主治医にとっても鎮痛剤の使用は容易ではありませんが、患者さんお参考になれば幸いです。
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