清澤のコメント:大竹眼科院長の綾木先生が本を出されました。東洋経済の記事をもとに要点を採録してみましょう。私も涙液と瞬目の重要性についての異議はありません。ドライアイが重症であれば、点眼、温罨法、そして涙点プラグなども用います。意識的に瞬目を深くすることで良好な涙液層を維持できることにはまだエビデンスは十分ではないかもしれません。
ーーー要旨ーーー
まばたきを軽視する人を襲う、目のダメージの正体「5回に1回失敗」して、日本人の目がいまデコボコ

10秒目をあけられなければドライアイかもしれません(写真:metamorworks/PIXTA)
あなたは10秒目をあけられますか? もしつらいと感じたなら、ドライアイかもしれません。
今、日本人の多くが正しくまばたきできていません。速すぎたり、きちんと下までおりていなかったり……5回に1回まばたきに失敗している、そんな調査報告もあります。正しくまばたきできないと、目のうるおいは不足します。慶應義塾大学医学部・眼科学教室の綾木雅彦氏著『視力防衛生活』より、意外と知らないまばたきの役割と、目の回復につながるまばたきのコツをお伝えします。
現代人は涙不足。まばたきは減っている
人は1日約2万回、目をとじています。なぜだと思いますか?答えは、目はとじるたび回復するから。上まぶたと下まぶたがバチリとくっつくことで目をコーティングする涙の油成分が分泌されます。目に新鮮な涙を供給し、角膜の表面を整えることで目に入ってくる光の散乱を減らす、それがまばたきです。
現代人の目は酷使されていて、目の回復の重要性は増すばかり。なのに、ちゃんと目をとじられていない「不完全まばたき」の人がとても多い実情があります。
この状況を引き起こしているのが「ストレス」、そして「スクリーン(デジタル画面)」の凝視です。ストレスがかかって緊張しているとき、自律神経のうち交感神経が優位になり、目が見開き、まばたきの回数が不十分になります。また、涙の分泌量もおのずと減ります。加えて画面を凝視するなど集中してものを見ると、まばたきは減ります。
コロナ禍以降、涙の量は平均13%、目の保湿機能は平均23%減少している(綾木データ)。在宅勤務によるパソコン作業時間の増加、スマホ時間の増加、そして環境の変化によるストレスが大きな要因と推測されます。
起きている間のすべてのまばたきのうち約18%、つまり5回に1回は、残念ながら不完全なまばたきに終わっている。データを分析しても、2015年は全体の5割、2022年は全体の約7割の人の目がデコボコになっていることが判明しています。不完全なまばたきにより、目の表面からうるおいがなくなっている人はとても多いのです。
目の涙液で「くっきり」見える
私たち現代人の1度のまばたきは、平均0.3秒。一日16時間起きている人が、まばたきのために目をつむる時間の累計は約96分。つまり、起きている時間の約10%は暗闇です。この時間で、まばたきは目に必須の作業をしています。
まばたきすることで、まぶたがワイパーのように目の表面をなぞって涙を塗り広げてくれます。細かなごみも瞬時に取り除き、適度なうるおいを与え、表面を整えてくれます。
正しいまばたきのコツ
正しいまばたきのコツはシンプルで、上まぶたと下まぶたをしっかり0.5~1秒くっつけること。これにより生じた圧力で涙腺が刺激され、涙液が分泌されます。すると、目の表面にある古い涙が新しい涙と交換されることに。

『視力防衛生活』(サンマーク出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします
涙にも、大事な役割がいくつもあります。目の表面に酸素や栄養を届けたり、目の傷を修復したり、殺菌作用を持つ物質で微生物の侵入を防いだりします。そして、目の表面をうるおしてなめらかにすることで、クリアな画像が目に入り、遠くと近く、見たいものにピントを合わせやすくしてくれてもいます。
涙はじつはずっと分泌されていて、目の表面をつねに理想的な状態で均一に覆おうとしています。それが達成できているか否かが、目の見える力と目の健康を大きく左右するのです。まばたきは回数よりも、「きっちり深く」が大切です。
ーーーーーー
コメント