清澤のコメント;
緑内障における視野欠損と視神経乳頭のカッピングの相関関係視; 神経乳頭の中央には、小さなくぼみがあります。緑内障による眼圧の上昇や視神経への血流低下によって、神経線維が破壊され、乳頭が拡大します。これを視神経乳頭カッピングと呼びます。緑内障の後期には、カッピングが重度化し、視力の低下が起こります。従来、この閾値は60%程度とされてきましたが、その感度や特異度はそれほど良いものではなさそうです。
それに対して、最近注目されているのが網膜断層装置OCTにより検出される視神経神経線維欠損です。緑内障の神経線維束欠損(NFLD)と視野欠損(VFD)の関連について、調査してみますと、以下の情報が見つかります。
BMC Ophthalmologyに掲載された研究論文によると、緑内障眼における局所的網膜神経線維層の角度と視野欠損の重症度との相関関係について調査されています。この研究では、局所的RNFL欠損の角度を測定することが、視野欠損の重症度を決定するための有効な方法であることが示されました。ただし、この研究では神経線維束欠損と視野欠損の相関関係を特に調査していませんでした。
Chen, A., Lai, IC., Cho, WH. et al. Defective angles of localized retinal nerve fiber layer reflect the severity of visual field defect- a cross-sectional analysis. BMC Ophthalmol 20, 141 (2020). https://doi.org/10.1186/s12886-020-01396-y
また、Journal of Glaucomaに掲載された研究論文によると、緑内障眼における視野欠損と焦点性神経線維層欠損との相関関係について分析されています。この研究では、焦点性緑内障視野欠損を有する眼におけるRNFL厚さの解析は、OCTによる構造的および機能的相関が良好であることが示されました。• Yalvac, Ilgaz Sagdic MD*; Altunsoy, Muhsin MD*; Cansever, Semra MD†; Satana, Banu MD†; Eksioglu, Umit MD†; Duman, Sunay MD†. The Correlation Between Visual Field Defects and Focal Nerve Fiber Layer Thickness Measured With Optical Coherence Tomography in the Evaluation of Glaucoma. Journal of Glaucoma 18(1):p 53-61, January 2009.
患者さんが眼科を受診されたときに、私は眼底写真を撮らせていただくことがありますが、その主な目的はこの緑内障が隠れていないかを見ようとしているのです。
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