緑内障

[No.411] 女性・高齢・近視でなりやすい緑内障とはどんな病気か・60歳からの健康術 眼科編(2)

女性・高齢・近視でなりやすい緑内障とはどんな病気か・60歳からの健康術

清澤のコメント:コンタクトレンズ処方をメインに診療して来た診療所を引き継ぎましたら、強度近視で眼底が緑内障のように見える患者さんや、視神経乳頭陥凹拡大や傾斜乳頭のある患者さんが予想以上に多いです。そのあたりから、今回の日刊ゲンダイでの「60歳からの健康術 眼科編(2)」では緑内障を取り上げさせていただきました。なお、参天製薬の配布している「あなたの目を守るために」という緑内障を初めて宣告された患者さんにお渡しできるできるファイルは、とても秀逸です。取材記者さんにはこれを見せながら説明をいたしました。

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 前回、60歳を境に目の機能が急速に衰えるケースが少なくない、という話を紹介した。その中には目の病気を発症するケースもある。たとえば「緑内障」だ。中途失明の25%を占めるこの病気の多くはゆっくりと視野が欠けていく。
 中には急激に眼圧が上昇し、目の痛みや充血、頭痛や吐き気などの激しい症状を伴い、視力障害が急速に進む急性緑内障を発症する人もいるがそれはまれなケースだ。「自由が丘清澤眼科」の清澤源弘院長が言う。
 「緑内障の有病率は40歳以上で5%程度とされ、決して珍しい病気ではありません。しかし、発症初期は気がつきにくいうえ、多くの緑内障はゆっくり病状が進むため、自覚したときには症状が進んでいるケースが多い厄介な病気です」
 気をつけたいのは、緑内障と診断されても多くの場合、すぐに失明するのではないということ。緑内障と診断されると「失明するのか」とパニックになる人がいるが、早期診断と治療で病状の進行を十分に遅らせることができる。その結果、まったく自覚症状のないまま、天寿を全うする人も少なくないという。

「そのためには早期発見が重要です。40代になったら1年に1度程度の眼科検診を受けることが望ましいのですが、定年などで定期検診の機会が減り、症状が進む60歳を越えたら、意識して半年から1年に1度のペースで検査を行うことが大切です」
 ひと口に緑内障といってもさまざまな種類がある。代表的なのは閉塞隅角緑内障と原発開放隅角緑内障だ。
 隅角とは目の内部に栄養を送る水(房水)の排水口で、黒目(角膜)と茶目(虹彩)が交わった場所に目の周りを囲むように全周に存在する。
 「閉塞隅角緑内障は隅角が狭くなって遮断され房水が排出されなくなった状態です。眼圧が急速に上がり、光の周囲に輪が見える、かすむ、目が痛い、頭痛がするなどの症状が表れます。眼圧が上がった状態が数時間も続くと視神経がダメージを受けて視野が急速に失われます。閉塞隅角緑内障は女性や高齢者に多く、目の小さな人も元来、隅角が狭いのでなりやすいといわれています」

 原発開放隅角緑内障は隅角が開いているが、その先の房水流出路に問題がある病気だ。
「房水は水晶体の厚さを変化させて近くや遠くを見るときのピント調節をつかさどる毛様体の表面でつくられます。それが、角膜と水晶体の間を満たし、隅角と呼ばれる排水口から線維柱帯という構造を通って、眼球の外の静脈に吸収されます。原発開放隅角緑内障は隅角の線維柱帯が目詰まりを起こす病気です。近視の人に多いものの、遺伝的要因も見逃せません。視野は鼻上側から見えなくなることが多く、中央は最後まで残り視力は低下しにくいです」

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