緑内障

[No.419] 近視と正常眼圧緑内障(東出朋巳)記事要約紹介

清澤のコメント:日本医師会雑誌3号の「子供の近視、大人の近視」という特集の中の一つの記事。近視と正常眼圧緑内障(東出朋巳)記事要約です。当該患者が近視のある緑内障眼なのか?、近視に多い傾斜乳頭か?はやはり議論の種になりそうです。

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1⃣ 緑内障は成人中途失明の代表的原因疾患;男性に多い、世界全体で失明者360万。日本の失明者全体の28.6%(2015-6年度)。

2⃣ 緑内障の定義と正常眼圧緑内障:緑内障性視神経症によって定義され、眼外へ視神経として移行する網膜神経節細胞の軸索が選択的かつ進行性に脱落する疾患。軸索が喪失すると視神経乳頭陥凹拡大とリムの菲薄化、そして対応する視野の部位の感度低下。リスクファクターは高眼圧。典型的には急性閉塞隅角緑内障。多治見スタディー40歳以上で5%。正常眼圧緑内障は3.6%。

3⃣ 正常眼圧にもかかわらず緑内障になる理由:①偽の正常眼圧:角膜が薄いと眼圧は低く測定される。(レーシック眼は低く測定される)②低い健常眼圧:(脳脊髄圧が低いと経篩状板圧格差が大きくなる)

4⃣ 近視と緑内障:近視は緑内障のリスクファクターである。近視の緑内障に対するオッズ比は1.88、ー3D以上なら2.46。

図:様々な形態の近視緑内障眼(傾斜A.C.D、 回旋B,C. 小乳頭D, 大乳頭B)

5⃣ 近視眼の緑内障診断の問題点:近視は緑内障のリスクを高める。強度近視では傾斜や回旋、小乳頭、第乳頭など形態の多様性が顕著で、評価がむつかしい。OCTは緑内障臨床に不可欠の検査だが、強度近視眼では偽陽性が多い。

6⃣近視眼の構造異常と緑内障性視神経症のつながり:近視眼の構造以上と緑内障性視神経省とのつながり:強度近視では眼軸長延長に伴い、篩状板の菲薄化及び篩状板がその支持部である周囲の強膜に付着する部位の脆弱化が生じる。乳頭の傾斜や回旋は篩状板に歪みを起こす。そして篩状板を通過する神経線維にストレスとなる。弱年者の進行しない緑内障様の視神経乳頭異常と市や以上は、眼軸長延長期に異常が生じその伸長停止に伴い視野異常進行が止まったものと考察される。緑内障として点眼治療などを考慮する。眼軸延長による乳頭構造変化は中心市やを司る神経線維に影響が大きい。強度近視眼の緑内障では中心視野障害が先行する症例がまれではない。OCTの進歩で詳細な画像解析が可能になった。

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