緑内障

[No.449] 高血圧の人は注意 緑内障と心肥大の意外な関係:日刊ゲンダイ 60歳からの健康術眼科編(4)

清澤のコメント:今回この連載の中で、私が共著で最近公刊された緑内障関連の論文を紹介していただきました。ご笑覧ください。

Cardiac Hypertrophy May Be a Risk Factor for the Development and Severity of Glaucoma Biomedicines 2022, 10(3), 677; https://doi.org/10.3390/biomedicines10030677

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60歳からの健康術  眼科編(4) 公開日:2022年03月25  バックナンバー

写真はイメージ

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 年齢を重ねてくると心臓に問題を抱える人が増えてくる。たとえば心肥大だ。心肥大とは文字通り心臓の筋肉が厚くなる症状を言い、心臓の機能が悪い人は大抵この症状を伴う。心肥大になると息切れ、倦怠感、むくみなどを自覚する。放っておくと突然死することになりかねない。

 心肥大を招く原因はさまざまだが、最も多いのは高血圧だ。高血圧になると心臓から全身に血液を送り出すために心臓に負担がかかり、その負担増により心臓(とくに大動脈に血液を送り出す左心室)の筋肉が厚くなる。

 心肥大の人は何らかの心臓病のリスクを抱えていると考えなければならないが、緑内障の発症リスクが高まることも覚えておいた方がいい。実際、「心肥大は緑内障の発症と重症化リスクとなりうる」とする最新の研究論文が欧米のインパクトファクターの高い生物医学系雑誌電子版に3月15日に公開された。「自由が丘清澤眼科」(目黒区自由が丘)の清澤源弘院長が言う。

「この研究の目的は、緑内障と心臓の異常との関係を調べること。開放隅角緑内障の581人の患者(男性285人、女性296人)と緑内障のない595人(男性273人、女性322人)の群に分けて、それぞれ比較しました。参加者全員がハンフリー視野計で視野を測定し、心電図、および血圧測定を受けました。そのうえで、緑内障の発症と重症度に関与する心電図異常とその他の要因(年齢、眼圧、全身性血圧)を調べたのです。その結果、緑内障の発症と眼圧並びにいくつかの心疾患との有意な相関関係が明らかになりました。また、本来は一定のリズムの電気活動で動く心房が、無秩序に電気活動する心房細動や、心肥大と脈が遅くなる不整脈である徐脈が脳血流を減少させたり、眼血流にも影響を与える可能性があることがわかったのです」

 一般的に緑内障は眼圧が高くなることで視神経にダメージが加わり発症するといわれる。しかし、それでは日本人に多い「正常眼圧緑内障」が説明できない。そのこともあり、眼圧だけでなく視神経への血流量が減少することで視神経が酸素不足になり、視機能の障害をもたらすという「循環障害」仮説も、緑内障の発症や重症化に関係しているという考え方がある。

「三島総合病院の鈴木幸久先生と私によるこの研究は、その可能性を改めて示唆した点で重要です」(清澤院長)

 まだ研究段階だが、心肥大や心臓の機能が低下していると診断された人は眼科専門医を受診し、緑内障のリスクを調べてもらう方がいいかもしれない。

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