清澤のコメント:左を向くとき、特に遠方視で物が二重に見えると訴える外転神経麻痺患者さんを見ました。眼科医として、外転麻痺の主な原因と対策を患者さんおよび家族に説明するのに必要な情報を調べてみました。
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外転神経麻痺は、第六神経麻痺または外直筋麻痺とも呼ばれ、眼の外直筋を制御する外転神経 (第 6 脳神経) の機能に影響を与える状態です。外直筋は、眼の外側または横方向の動きに関与しており、目を横方向に注視できるようにします。(外直筋:図の緑色で示されるのが左目の外直筋)
外転神経麻痺には、次のような主な原因がいくつかあります。
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外傷:頭部への打撃や頭蓋骨の骨折などの頭部外傷または損傷は、外転神経を損傷し、外転麻痺につながる可能性があります.(外傷直後に起きていれば、神経画像が正常でもこれが疑われます。)
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感染症:神経に影響を与える髄膜炎やその他のウイルスまたは細菌感染症などの特定の感染症は、外転神経の炎症や損傷を引き起こし、外転麻痺を引き起こす可能性があります。(感染症であれば、発熱や頭痛など頭蓋内疾患を疑わせる症状が合併しているかも。亜急性)
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神経学的疾患: 多発性硬化症などの特定の神経学的状態は、外転神経を含む神経に影響を与え、外転麻痺を引き起こす可能性があります。(多発性硬化症なら時間的および障害部位の多発性があるでしょう。脳画像にも複数の脱随想が見られるかもしれません。)
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血管の原因: 虚血性脳卒中などの血管の状態により、外転神経への血流が減少し、神経の損傷や外転麻痺を引き起こす可能性があります。(老人では、血管障害は最もありふれたものですが、塞がる血管は細いものなのでMRIやMRAでの描出は困難でしょう。突発性なこと、高血圧や糖尿病の合併ではこれを考えます。これであれば、3か月程度で緩解が期待できます。)
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腫瘍: 脳幹、海綿静脈洞内またはその近く、または外転神経の経路に沿って発生する良性および悪性の腫瘍は、神経を圧迫または損傷し、外転麻痺を引き起こす可能性があります。(MRIなどの画像検査が其れを見出すかもしれません。)
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先天性の原因: 先天性の異常または外転神経に影響を与える発達上の問題により、外転麻痺を持って生まれる人もいます。(生まれた時から片方の外典神経の働きが弱かったという意味です。場合によっては小児眼科医による斜視手術が考えられるかもしれません。)
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特発性:場合によっては、外転麻痺の正確な原因が特定されない場合があり、特発性外転麻痺と呼ばれます。
外転麻痺の治療は、根本的な原因と状態の重症度によって異なります。感染症の治療や神経学的状態の管理など、根底にある状態への対処が含まれる場合があります。複視を管理するためにプリズム眼鏡またはアイパッチが使用される場合があり、場合によっては、斜視手術によって眼のずれを修正したり、圧迫性ならば影響を受けた神経を減圧するために手術が必要になる場合があります。外転神経麻痺(ないし外直筋麻痺)の疑いがある場合は、神経眼科を得意とする眼科医などの医療専門家に相談して、正確な診断と適切な管理を行うことが重要です。
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更に米国眼科学会のページを見ますと:
外転神経麻痺(第 6 脳神経)の神経麻痺は、成人で最も多い眼球運動麻痺であり、子供では 2 番目に一般的です。外転神経は、目を外転させる外直筋を制御します。外転神経麻痺は、拮抗する内側直筋の非拮抗作用により、内斜視を引き起こします。(アイキャッチ画像参照)罹患した眼は内側に回転し、適切に外転することができません。esoviation は随伴性であり、患者が患側を向いているとき、および近くを見つめているときよりも遠くを見つめているときの方が大きくなります。
稀なものを含めて成人での外転神経麻痺の原因に次のものが挙げられています。実際には多いものから除外してゆきその治療法を考えます。おそらくは微小血管障害なのでしょうけれど、探索が原因不明に終わる場合も少なくありません。
成人では
- 微小血管虚血
- 外傷
- 特発性
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