One point Advice(神経眼科初めの一歩という本 p222-223)で羞明と眼痛を田川義晃先生が解説している。このコラムには文献がないがShedding Light on Photophobia、Digre, Kathleen、Journal of Neuro-Ophthalmology 32(1):p 68-81, March 2012. | DOI: 10.1097/WNO.0b013e318247454は少し古いが、その代表的なものであろう。大変参考になるので、田川氏の記事を此処に要約採録する。眼瞼痙攣の眼痛にはリリカなどの神経障害性疼痛に用いられる薬剤を試せるかもしれない。
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羞明の視覚経路:
疼痛は生存や健康を脅かす脅威に対する忌避シスレム。羞明も光刺激に対する防御システム。高次視覚を扱う後頭葉底部(V4)は羞明の中枢であり、その梗塞には大脳性無羞明がある。短波長に応答するメラノプシン含有神経節細胞が羞明に関与するという話もある。
羞明回路と痛覚経路:
角膜、ブドウ膜疾患でも羞明を訴える。羞明という感覚形成には眼の痛覚経路からの入力も関わっている。視床(視床枕)に光刺激と疼痛の両者に反応する細胞が存在し、光刺激が脳内の疼痛関連領域を活性化する。生体共焦点顕微鏡で、原因不明の眼痛や羞明を訴える患者の中に角膜神経に異常がある症例が見つかっている。ドライアイ患者の中には神経腫を持つ者がいる。其処では神経障害性疼痛(神経が障害されて生じる疼痛)も考える。ドライアイ、遷延性術後疼痛、眼瞼痙攣、片頭痛でも角膜神経に変化がある。
光眼痛症と羞明:
眼痛と羞明には共通の病態病態と異なる機序が想定される。羞明(photophobia, 光恐怖)と光眼痛症(photoallodynia,光刺激で痛みを感ずる)があり、厳密には区別される。ブドウ膜炎の虹彩痛覚過敏は後者である。
眼瞼痙攣の羞明:
眼瞼痙攣には感覚運動関連の異常が存在するとされる。(清澤注:若倉も眼瞼痙攣の症状を運動症状、感覚過敏、精神症状(鬱)であるとしている)
羞明と眼痛:
眼痛を生じる疾患は羞明を伴う事が多く、両者は関連している。羞明回路が視覚経路のみならず痛覚回路からも大きく修飾を受ける。人の患者では解明されていない。
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Digreの図
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